消えていく星の流線を

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デフォで重め

【アイナナ】『願いはShine On The Sea』考察

 

『願いはShine On The Sea』は凄い曲だ。

 

この曲はアイドリッシュセブンのストーリーを知っているのと、知らないのとでは意味が全く違って聴こえる。

凄い曲だ。

 

他の多くの曲にも当てはまることだが、アイドリッシュセブンに登場するアイドルたちの曲はストーリーとリンクしており、まるでそのシーンの主題歌のように聴こえる。

これはアイドリッシュセブンというプロジェクトの大きな特徴である。

音楽によって、プレイヤーはよりストーリーに没入させられる。

 

『願いはShine On The Sea』も例に漏れず、TRIGGERを彩る“主題歌”になっている。

 

今回は『願いはShine On The Sea』とTRIGGER周辺のストーリーの関連について考える。

 

 

 

 

ストーリーとの関連

この曲は、アイドリッシュセブンメインストーリー3部11章5話で初めて登場する。

 

プレイ済みの方はご存知だと思うが、アイナナ3部はもう本当に色々、ものすごくて残酷だ。

3部では大手芸能事務所であるツクモプロダクションが登場する。その新社長に、アイドルを目の敵にする月雲了が就任したことから、アイドルたちは茨の道を進むことになる……

 

もうなんか、月雲了は目も当てられないようなことを平気で仕掛けてくるんだけど、11章は特に酷かった。

 

東京国際音楽芸術祭での新曲初披露を控えたTRIGGER。

しかし月雲了はTRIGGERを失脚させるため、悪い人たちのツテを利用してTRIGGERのメンバーを拉致監禁し、東京国際音楽芸術祭の出演をドタキャンさせようとする。

 

は、は……

 

犯罪じゃねえか……

普通に、これ犯罪じゃねえか……

 

TRIGGERは以前、事務所社長とテレビ局が揉めたことから、音楽番組「サウンドシップ」出演をドタキャンしている。

東京国際音楽芸術祭は格式高い、ちゃんとした音楽祭である。そんな舞台を、しかも1度ならず2度までもドタキャンしたとなれば、TRIGGERの信頼は地に堕ちる。

なんて卑怯なんだ、月雲了。

 

TRIGGERに連絡がつかないため、i7とRe:valeはTRIGGER捜索に乗り出す。

無事に全員救出されるが、天と楽はTRIGGERの出番までに会場に着くことができなかった。

かくして、新曲披露のステージには、十龍之介だけが立つことになった…

 

この時、十が1人で歌った新曲が、『願いはShine On The Sea』だった。

 

 

十は舞台袖で月雲と会うが、その時にこんな話をした。

十「俺は漁師の息子です。海では、恵も災いも、神様次第だった。突然の高波や嵐が訪れる恐怖と隣り合わせだった。でも芸能界は人の作った世界。たとえ全て失うことになっても、命まで奪われることはない。裸の俺に戻るだけです。何も怖くない。

ひどい天災に対抗できるものは、いつだってたったひとつ、人の和だった。TRIGGERは俺の胸の中にいる。ここにいる2人はあなたには奪えない。あなたは、ちっぽけで、無力だ」

 

漁師の息子である彼は、芸能界を海に例えた。

大荒れの海のような芸能界を渡るのも、TRIGGERの2人と一緒なら怖くない。十はそう言い切った。

 

 

また、八乙女事務所のTRIGGERとしての、最後のテレビ出演となったミュージックフェスタで披露したのもこの曲だった(12章5話)。

 

この出番直前(12章4話)に、TRIGGERとZOOLが会話するシーンがある。

このシーンのTRIGGERのセリフは『願いはShine On The Sea』の歌詞とダイレクトに繋がっており、歌詞を読むうえでとても重要になる。

以下にもちょくちょくここのTRIGGERのセリフを例示するので、ぜひ気にしてみてほしい。

 

 

『願いはShine On The Sea』はストーリーで2回登場するが、その場面は…

 

・東京国際音楽芸術祭で十が1人で歌った

・八乙女事務所のTRIGGERとしての、最後のテレビ出演で歌った

 

このように、TRIGGERのターニングポイントで歌われたことを押さえておきたい。

 

 

 

タイトルの意味

『願いはShine On The Sea』は直訳すると「願いは海の上の輝き」となる。

先述の十のセリフから、【 Sea =芸能界】を表している。

 

では、「Shine」は何を指しているのか?

 

 

Dメロに

水面を照らしてる太陽のように 誰かを癒す愛を注ぎたい 届いてよ… キミのもとへ

という歌詞が出てくる。

 

TRIGGERが愛を注ぐ対象は「ファン」である。TRIGGERはいつだってファンを喜ばせたい一心で、ファンに誇れるものを作ってきた。

歌詞に出てくる、この「誰か」「キミ」は「ファン」を指すと考えてよい。

 

TRIGGERは海の水面を照らす太陽のように、ファンに愛を注ぎたい……

この歌詞から、【 Shine =ファンを照らすこと】とわかる。

 

「海」=芸能界を指しているわけだが、「(海の)水面を照らしてる太陽のように」という部分は言い換えれば、

「芸能界(=海)の頂点で輝きたい」と、読むことができる。

 

『願いはShine On The Sea』というタイトルは、

 

【芸能界という海の頂点で輝き、再びファンを笑顔にしたい】

 

というTRIGGERの願いを表している。

 

 

 

九条天のアイドル観との関連

この曲は九条天のアイドル観、アイドルとしての意識を多分に反映していると感じる。

(わたし自身が天推しなので、贔屓目になってしまうのかもしれないが笑)

 

以下に考察する九条天のプロ意識は、そのままTRIGGER全体の意識にもなっていると言える。

 

何故かというと、九条天はセンターだから。

「センター次第でグループの路線、カラーが決まる」とは、一織も言っていたこと(1部3章2話)で、センターである天の意識は、そのままTRIGGERというグループ全体の意識として捉えてよい。

 

 

「キミが笑ってくれるとすごく 嬉しくなる感覚」

例のミュージックフェスタの出番の前に、天はこんなことを言っていた。

天「ボクの歌や姿が誰かの目に映って、その人の胸を震わせて笑顔にする瞬間が欲しい。奉仕や献身じゃない。ボクの望みだ」(3部12章4話)

 

さらに、一織は天についてこんな分析をしていた。

「九条さんは、完璧なパフォーマンスと深い愛情を、ファンに惜しみなく与えていく」(3部14章5話)

 

この、「完璧なパフォーマンスと惜しみない愛情を注ぎ、ファンを笑顔にする」ということが、九条天のアイドルとしての信念であり、揺るぎない軸なのである。

 

また、これは「奉仕や献身じゃなくボク自身の望みである」と本人がはっきり口にしている。

ファンを笑顔にすることで、天自身の心も満たされるのだ。

 

これは、曲中の2番の天ソロパート

キミが笑ってくれるとすごく 嬉しくなる感覚

という箇所に表されている。

「キミ」は「ファン」のことを指すので、「ファンが笑ってくれると、天自身も嬉しくなる」という、天のアイドル観と一致する。

 

 

「泳ぎ続けるだろう   どんな時でも」

九条天のプロ意識の高さは並ではないが、とりわけ、「世界が終わる日まで、どんな時も歌って踊る」ということを公言し続けている。

 

天「隕石が落ちて世界が絶望している時にも、笑って歌うのがボクらの仕事。それを九条さんが教えてくれた」(2部5章2話)

 

天「雨に歌って、*1闇に笑って、地獄で踊る。ボクらの仕事は何も変わらない。世界が終わる日まで」(3部14章3話)

 

この、「世界が終わる日までどんな時でも歌い踊る」天の精神が

泳ぎ続けるだろう   どんな時でも

という箇所に表れている。

 

「泳ぎ続ける」は、「(海=芸能界を)泳ぎ続ける」ということ。

 

実際に、八乙女事務所を離れた時にも、TRIGGERの3人には「解散」という選択肢は眼中になかった。

3人は芸能界を泳ぎ続ける決断をしたのだ。

 

 

 

TRIGGERの「プライド」

大事なPrideならば持っているだろう?

という歌詞について。

3部のセリフで、何度か「プライド」という言葉が出てきていた。

 

十「精一杯歌って、精一杯踊ってる。そこにはなんの手抜きもしてない。全力を尽くしてるプライドがある」(3部3章2話)

 

天「ボクは自分の意志で、自分のプライドで、自分のしたいことをしてきた。後悔なんてない」(3部12章4話)

 

TRIGGER「完璧な歌を、ステップを、ボクらをここに置いていく。自分のプライドのために、ファンのために、一緒に戦ってきた仲間のために」(3部20章4話)

 

十のセリフが一番よくわかるが、TRIGGERのプライドとは「ステージに全力を尽くしているプライド」だ。

 

やはりミューフェスでこの曲を歌う前の話になるが、八乙女楽が

「俺たちは包装紙に傷が入っただけで、中身は変わらず一級品だ」(3部12章4話)

と言っていた。

 

「包装紙に傷が入った」は、「八乙女事務所というブランドの箔がなくなった」ということ。

TRIGGERは八乙女事務所を離れても、全力を尽くしてパフォーマンスしてきたという事実は消えないし、それが今のTRIGGERの自信になっている。

TRIGGERのプライドは今までも、これからも、消えることがないだろう。

 

 

さて、次からは歌詞を見ながら読んでいく。

 

 

 

願いはShine On The Sea

作詞:結城アイラ

作曲:藤井亮太

 

(天)願いよ届け たとえ遠くても   Oh

ゆるぎない夢があるから…

 

ウツシダセ モット (Stop light)

カラダ モヤシテ (Feel more live)

ウツシダセ ゼンブ ミセヨウ

ナリヒビケ モット (Music)

カラダ トカセヨ (Feel more life)

ナリヒビケ キミノ ココロヘ

TRIGGER、とりわけ八乙女事務所を辞めてからのTRIGGERは、とにかくライブをしてファンに姿を見せたいと思っている。

また、3人が共通の目標として掲げるのは「ゼロアリーナでのライブ開催」である。

ライブという仕事を、TRIGGERは何よりも重視している。

 

Stop light」で体を「ウツシダ」し、

Music」を「キミ(=ファン)ノココロヘ」「ナリヒビ」かせる場所——

それはライブである。

この歌詞は、「もっとライブをしたい」というTRIGGERの思いを表す。

 

 

(楽)溢れそうな感情を抑え 自分らしさ気付けなかった

(十)キミが教えてくれたね 真っ直ぐになれば良いと

十はセクシー路線のキャラを作ることに違和感を覚え、本当の自分とアイドルの自分との間で苦しんでいた(3部2章1話・3章2話~4章2話あたり)。

ここは恐らく、「自分らしさ」とは何なのか悩んでいた十のことを歌っているのだと思う。

 

 

(天)(明日に…Ah)

(楽)小さな希望があれば

(天)(不安も…超えられる)

(十)痛みも超えられる

(天)大事なPrideならば持っているだろう?

I believe!

TRIGGERは八乙女事務所を離れ、「不安」と「痛み」を抱えている。

しかし、前に解説したような揺るぎない「Pride」を持っているので、不安も痛みも超えることができる。

 

 

願いよ届け たとえ遠くても Oh

簡単に諦めたりしない

(天)(I’ll go my way)

(十)深く冷たい海の底からも

(楽)必ず上がってみせる Shine on the sea

もちろん、ここはサビであり、また「Shine On The Sea」というタイトルの一部が含まれることから、この歌詞が曲の中で一番の核になっていることは明らかである。

 

深く冷たい海(=芸能界)の底」に突き落とされたTRIGGERだったが、彼らは「簡単に諦めたりしない」。

必ず、海を照らす太陽のように芸能界のトップに立ち、再びファンを笑顔にする。

これこそ、3部におけるTRIGGERの決意表明に他ならない。

 

 

ウツシダセ モット (Spot light)

カラダ モヤシテ (Feel more live)

ウツシダセ ゼンブ ミセヨウ

 

(天)キミが笑ってくれるとすごく 嬉しくなる感覚は

(楽)恋にも似てる心地で 真っ直ぐに戻れる不思議

スピンオフストーリー『To the radiant of glory』のなかで、TRIGGERは3人が出会った時の感覚を「恋に落ちた」と言っている。

 

また、TRIGGERのデビュー曲『DIAMOND FUSION』(結城さん作詞)に

「Dance to you like fall in love 初恋のようなトキメキを…」

という歌詞が出てくる。

結城さんは、「『DIAMOND FUSION』はTRIGGERの出会いを描いた歌詞」だと明言している。*2

 

彼らは、3人が出会った時のこの「恋にも似てる」感覚をずっと持っており、初心を忘れずに歌い踊っているのだ。

 

 

(十) (今…Ah)

(天)積み重ねてきた分だけ

(十)(自信に…繋がるよ)

(楽)勇気に繋がるよ

(十)柔なPrideなんて捨てるべきだろう?

I promise!

1番とは違い「捨てるべき」とされている、この「柔なPride」は、1番に出てきた「Pride」とは別のものを指すとわかる。

 

では「柔なPride」は何を指すかというと、「八乙女事務所ブランド」である。

 

TRIGGERは「八乙女事務所」という強力なブランドのもと、デビューしてからすぐに売れた。

しかし月雲の攻撃が始まってからは、この八乙女ブランドがかえって攻撃をエスカレートさせ、悪循環であると考え、事務所を離れる道を選ぶ。

八乙女ブランドは今のTRIGGERにとって必要ないもので、むしろ捨てた方がいいもの。

 

だから、八乙女ブランドへのこだわりなどという、「柔なPride」は「捨てるべき」なのである。

 

楽が「包装紙に傷が入っても中身は変わらず一級品だ」と言っていたように、八乙女事務所というブランドの包装紙を捨てたとしても、TRIGGERの実力、努力、信念、そういった本質はなんら変わりない。

そんな柔なプライドは、TRIGGERにとっては捨てても全く問題ないのである。

 

 

願いよ届け 引き寄せればいいさ

ぼんやりじゃなくハッキリ見える

(楽)(I’ll keep my word)

(天)その映像を 胸に灼きつけて

(十)進むべき道を選べ Shine on the sea

その映像」とは、『願いはShine On The Sea』を歌ったミュージックフェスタで見た、ファンで埋め尽くされた広い会場の光景のこと。

これ以降はいつ、こんな広い会場でライブができるかも、満員にできるかも、分からなかったので、TRIGGERは「その映像」を「胸に灼きつけた」。

 

 

(天)信じてる…

 

(楽)泳ぎ続けるだろう どんな時でも

(十)水面(みなも)を照らしてる太陽の様に

(天)誰かを癒す 愛を注ぎたい

(天)届いてよ…

(楽)キミのもとへ

月雲にどんなに攻撃をされても、どんな逆境にあっても、TRIGGERは「どんな時でも」芸能界(=海)の中を「泳ぎ続けるだろう」。

 

そして「水面を照らしてる太陽の様に 誰かを癒す 愛を注ぎたい」でタイトルの「Shine」の意味を回収。

 

「愛を届けたい」とか「与えたい」とかじゃなくて、この「注ぎたい」というワードチョイスも実は「太陽」と関係している。

「陽が降り注ぐ」とか言いますよね。これはただ太陽が当たっているのではなくて、「たくさんの」陽の光が当たるというようなニュアンス。

 

つまりTRIGGERのファンへの愛は「たくさん」なんだよ!!(語彙の消失)

まさに、一織が天のことを言っていたように、「惜しみない愛情」なんだよ!!

 

泳ぐ」「水面」、海に関連づけた歌詞で統一している、このセンスは本当にすごい。美しい。言葉選びが。

広い芸能界のなかでTRIGGERがもがいてる感じがよく出ていると思う。

 

 

願いよ叶え たとえ遠くても Oh

簡単に諦めたりしない

(十)(I’ll go my way)

(楽)深く冷たい海の底からも

(天)必ず上がってみせる Shine on the sea

(十)(そうI believe…)

 

ウツシダセ モット (Spot light)

カラダ モヤシテ (Feel more live)

ウツシダセ ゼンブ ミセヨウ (Let me show you…)

ナリヒビケ モット (Music)

カラダ トカセヨ (Feel more life)

ナリヒビケ キミノ ココロヘ

 

 

 

はい。以上になります。

 

まとめると、

『願いはShine On The Sea』は、「芸能界のトップに這い上がり、再びファンを笑顔にしたい」というTRIGGERの願いと決意を反映した曲である。

 

書きながら興奮を禁じ得ない、要するに凄い曲(ふりだしに戻る)。

最終的に「TRIGGERは最高」しか言えなくなる。

わたし、TRIGGERが現実のアイドルだとしても絶対にずっとしがみついていくと思う……

 

T R I G G E R は 最 高

 

 

 

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質問・感想など:こちら にいただけるとうれしいです。

 

 

 

*1:話逸れるんですけど「雨に歌って」ってジーン・ケリーリスペクトですかね。ミュージカルの多大なる貢献者だからね、ジーン・ケリー。ミュージカル方面担当の天らしい。

雨に唄えば』好きなんですよ~、今年の午前十時の映画祭で、夏ごろにスクリーンで見られるから、未見の方はぜひ。一般1000円、学生500円で見られます!オトク!

*2:

entertainmentstation.jp

【アイナナ】『Dear Butterfly』考察 ~逢坂壮五の変化について

 

わたしはMEZZO”の曲が大好きだ。

純粋に曲だけで言えばアイナナ楽曲ワンツースリー独占する勢いで好き。

 

現在リリースされているMEZZO”の楽曲は6曲。

 

・miss you...

・恋のかけら

・Dear Butterfly

・月明りイルミネイト

・雨

・甘さひかえめ

 

である。

MEZZO”の曲はほとんどが恋愛のことを歌っている。

『miss you...』や『恋のかけら』はめちゃくちゃキュンとするし、『雨』は不倫を想起させる、大人の恋愛の歌になっている。

 

 

しかしこの中で唯一、恋愛についての歌詞ではないのが、『Dear Butterfly』という曲だ。

 

この歌詞がどんな内容か端的に言うと、

【壮五は音楽が好き。環は王様プリンが好き。好きなものは好きって、他人の目を気にせず言おうぜ】

です。

 

 

この曲は第3部で登場するが、同時期のMEZZO“、特に逢坂壮五の心情を描いている。

今回は、逢坂壮五のバックグラウンドについて踏まえた上で、『Dear Butterfly』の歌詞を考えていく。

 

 

  

 

ストーリー3部における逢坂壮五の変化

3部の壮五は何が大きく変わったのかというと、【音楽という「好きなもの」に対する意識】である。ここでは順を追って 壮五の変化について見ていく。

 

 

壮五の承認欲求

3部中盤の山場は、壮五の存在が父親に認めてもらえるかどうか、であった。

 

壮五は自分の好きな「音楽」と「叔父である逢坂聡」を逢坂壮志に認めてもらうことで、「自分の存在」そのものを認めてもらおうとした。(16章5話~17章2話)。

 

壮五は【自分の好きなものを他人に認めさせ、自分の存在そのものを肯定させたい】という、ある種の承認欲求を強く持っていた。

 

ナギの言葉を借りれば「好きなものにイエスを求め、ノーと言われれば傷つく。愛するものを否定されれば、傷ついた相手は名誉を守るために戦います。」

壮五は幼い頃、叔父が亡くなった時からずっと、音楽に「ノー」と言われ続け、傷ついていた。だから、逢坂壮志からの「イエス」を求めて、家を飛び出して戦っていた。

 

 

環のメッセージ

壮五が持つ、例のある種の承認欲求に壮五自身が気付いたのは、環との会話の中でのことだった。

環「あんた、みんなに俺を褒めてほしいんじゃんな。叔父さんを褒めてほしかったみたいに」

壮五「初めて気づいた。僕はずっと、自分の好きなものを褒めてほしかったんだ。」

環「あんたがどんなに立派でも、あんたの好きなもん、笑うやつは笑うよ。遠慮しないで好きなものは好きって、大声で言えばいい。いいとか悪いとか、正しいとか間違ってるじゃなくて、あんたが好きなもん好きでいいんだよ。」(10章3話)

 

この「褒めてほしい」っていうのは、「壮志も音楽や聡を好きになる」とか「壮志も音楽をやるようになる」とかのニュアンスが入るのだと思う。

つまり、壮五は他の人にも音楽を好きになってほしくて、音楽を受容させたかった。

環が言ったことはその逆。「皆が皆、音楽を好きだとは限らない。だったら他人の目を気にして、自分の好きなものを抑圧する必要なんてない」と。

 

壮五は、この環の言葉がきっかけとなって、他人の目を気にせず「音楽が好きだ」と、「作曲がしてみたい」と主張できるようになった。

「好きなものを褒めてほしい」という、例の承認欲求に囚われなくなった。

 

 

友人になる努力

この環の言葉以降の壮五は、壮志に音楽を受容させることよりも、壮志と「同じテーブルについて友人になる努力」をすることにシフトしていった。

好きなものを褒めてもらうための戦いなど、意味がないと分かったからだ。

 

では、友人になるということは、具体的にどういうことか?

 

先述のナギの「好きなものにイエスを求め、ノーと言われれば傷つく。愛するものを否定されれば、傷ついた相手は名誉を守るために戦います」というセリフは、こう続く。

「好きなものを否定されても戦わないためには、友人になることです。愛する友人の言葉なら、否定も肯定も、理解しようと努力します。ワタシたちは生まれた国や性別、言語、愛するもの、憎むものが違っていても、友人になることで解決していける、社会性の高い幸福な生き物です。」

 

友人になるということは、相手と同じものを好きになり、同じものを憎むことではない。

それは友情ではなく、宗教や洗脳という。

友人になるということは、相手のありのままを認め、違う人間として受け入れることだ。

違う人間とは当然、完全に理解し、分かり合うことはできない。

だが、分かり合うことはできなくても、認め合うことはできる。

つまり、「わたしはこう思うけど、あなたはこう思うんだね。違う考え方だけど否定しないよ」ということ。

 

友人になるということとは、完全に分かり合おうとすることではなく、「分かり合えない」ことを受け入れ、ありのままの相手を認めることだ。

 

環も壮志に言っていた。

「なんで違う人間を認めてやらねーんだ」って。

これは「壮五と友人になってやれ」と同義。

 

 

壮五の意識の変化をまとめると

・「好きなもの(=音楽と叔父)を褒めてもらいたい」という承認欲求を満たすため、家を出て家族と戦っていた。

・環からの「いいとか悪いとか、正しいとか間違ってるじゃなくて、あんたが好きなもん好きでいいんだよ」という言葉で、例の承認欲求から解放された。

・そして、壮志と同じテーブルについて話し合い、「友人になる」努力をした。

 

壮志が壮五という人間を認めたかというと……微妙である。

結果として、TRIGGERのライブのためにFSCホールと7000万円という費用を貸してはくれたが、壮五の勘当が解けたわけではない。

しかしここから分かるのは、壮志が「音楽を否定しなくなった」ことだ。

 

壮志が、壮五の好きなものを認めた…とまでは行かないまでも、否定はしなくなった。

これから逢坂家は話し合いを重ねていき、(音楽を手放しで肯定まではしないが)壮五自身を認める、という風になっていくだろう。

 

  

壮五が自分を好きになるために

父親である逢坂壮志の策略により、1人でラジオに出演した壮五はこう語った。

「自分のことも、自分がいる環境も、自分の性格も、僕は好きじゃなかった。間違えるのが怖くて、いつも不安で、人の顔色を窺って……だけど好きな音楽を聴いている時は自分を好きでいられたし、好きなアーティストを応援している時は自分に自信を持っていられた。僕はずっと、自分のことが好きになりたかった」(17章1話)

 

壮五が自分を好きになれなかった原因は、壮五の家庭にあることは、言わずもがな。

壮五「僕の家は否定の繰り返しだった。父は叔父を否定して、叔父が好きだった音楽を憎んで…僕は叔父を否定した家族を好きになることができなかった。家族を否定し続けていた。」(13章3話)

 

壮五は、家族を否定し続けた自分自身も、好きになることができなかった。

それは家族が壮五の好きな音楽を否定したのと、同じことだったから。

 

壮五は「ずっと自分を好きになりたかった」。

そのためには次のような段階を踏む必要があった。

 

父親に音楽、逢坂聡、壮五自身の存在を認めさせる

壮五が父親をはじめとする家族を許す

壮五が家族を否定していた自分自身を許す

壮五が自分を好きになる

 

壮五が自分を許し、自分を好きになる。

そのための段階として、壮志に「音楽」を認めさせる必要があった。

 

 

 『Dear Butterfly』は、ナギの解説によれば「みんなの好きを大切にする歌」。

壮五は音楽が好きで、環は王様プリンが好き。それを理解してくれる人も否定する人もいる。

だが、たとえ理解できなくても、愛するもの、憎むものが違っていても、お互いが友人になり、相手を理解しようと努力することで解決できる。

 

『Dear Butterfly』に表されるメッセージは、この

【人それぞれの「好きなモノ」を否定せず認める】

ということだ。

誰が認めようが、けなそうが、他人の目なんて気にせず、好きなもんは好きだと大声で言えばいい。

 

「遠慮しないで好きなものは好きって、大声で言えばいい。いいとか悪いとか、正しいとか間違ってるじゃなくて、あんたが好きなもん好きでいいんだよ。」

この環の言葉が『Dear Butterfly』のテーマだ。

 

 

 

『Dear Butterfly』歌詞について

以上、逢坂壮五というキャラクター……特に「音楽」という、好きなものに対する意識をよく把握した上で、歌詞を読んでいく。

歌詞からの引用は赤字で示す。辞書的な言葉の意味は〈〉でくくる。

 

Dear Butterfly

作詞:真崎エリカ

作曲:渡邊俊彦

 

(環)そんな眉寄せた 顔をしないでさ

(環)心配するよりも 目と耳 澄ましてみようよ

(壮五)ほら流れ出す Music スピーカーから

(壮五)憧憬 あの頃と変わらない 恋したメロディ

1番は「壮五と音楽」の歌詞。

憧憬=〈憧れる気持ち〉。叔父の音楽に憧れたあの頃と変わらずに、壮五は音楽に恋している。

 

(環)小さなざわめきは

(壮五)ココロが羽ばたく音

Ah いつも僕らのなかにいるよ

この曲では「ざわめき」は何か嬉しいことが起きた時に心が揺れることを表す。

この「ざわめき」は、壮五が「作曲をしたい」と初めてやりたいことを言った時のものじゃないかな。やりたいことを言えた壮五の「ココロ」は、嬉しくて「羽ばたこう」としている。

また、「」という「壮五と音楽」を表す語が入る。

 

Maybe Maybe 今気付いたんだ

大切にしたいモノって

当たり前で かけがえない形をしてるね(Only)

Maybe Maybe 今伝えようよ

好きなモノを好きだよって

「遠慮しないで好きなものは好きって、大声で言えばいい」という環から壮五へのメッセージそのまま。

 

その瞬間こぼれてく

笑顔をシアワセと呼ぶから

(環)Understand?

(壮五)Very Good!

環「好きなモノは好きって伝えようよ」

環「わかった?」

壮五「いいね!」

環のメッセージを壮五が受け入れた瞬間がここ。

 

(壮五)なんか憂鬱で 倒れそうでもね

(壮五)結構浮上する理由は 些細なことだよ

(環)ほら舌先で Happy 溶けたとき

(環)単純かもだけど 嬉しい そんな出来事とか

2番は「環と王様プリン」の歌詞。舌先で溶けたものはプリンである。

 

(壮五)小さなざわめきは

(環)日常の隅っこで

Ah 目立たないけどそこにいるよ

ざわめき」=嬉しいことは、僕らの日常のどこか隅っこの方にあって、とても些細で目立たない。あまりにありふれていて、当たり前すぎて、気付かないかもしれない。

そんな「当たり前」にある「好きなモノ」に気付けることこそ、「シアワセ」なのだ。

失くなって初めてその大切さに気付く…とはよく言ったものだが、失くす前にちゃんと気付けたMEZZO“は偉い!偉いよ!

 

Daily Daily 素直になって

大切にしたい人と

気持ち語り 笑いあえる そんな今日がいいな(We Wish)

Daily Daily 素敵なことさ

ありふれた日々愛しいって

痛みを知るからこそ

尊いと分かっているんだ

ここは、最初は理解し合えず掴み合いになったMEZZO“だからこそ、痛みを知っているからこそ、歌えるんじゃないかな。

 

(壮五)Understand?

(環)Dear Friends.

Friends」が複数形である。MEZZO”がお互いに向けて言うだけなら「Dear Friend」でいいはず。

この歌詞は実はMEZZO”がお互いに歌っているだけではなく、i7メンバー全員に向けた歌なのだと気付くことができる。

 

(壮五)笑顔という (環)Butterfly Effect

(壮五)起こしてみよう (環)君と

(壮五)ここで (環)いつか

(壮五)願おう (環)いつか

大きな未来を――

バタフライエフェクトとは、〈非常に小さな事象が様々な影響の末、大きな結果に繋がるという考え方〉。蝶の羽ばたきが遠くの竜巻発生に影響しているのか?という、気象学での議論が元になっている。

ここでは(誰かの)笑顔が(誰かの)大きな未来に影響を及ぼす、と言っている。

歌詞中で、笑顔は「好きなモノを好きだよって伝えた瞬間にこぼれるもの」。

さらに歌詞中で、環からのメッセージにより「好きなモノを好きだよって」伝えることができるようになったのは、壮五である。

壮五は環の言葉によって、笑顔を獲得した。

ということで、この「笑顔」とは「壮五の笑顔」である、と考えられる。

 

では、誰の未来に影響を及ぼすのかと言うと、直前の箇所でこの歌詞はi7メンバー全員に向けたものだと分かったので、シンプルに「i7の未来」だろう。

【壮五の笑顔がバタフライエフェクトとなり、i7の大きな未来に繋がる。】

 

壮五が堂々と「音楽を好きだ」と言えるようになったこと……イコール「作曲をしたい」と言えたことが、i7の未来を大きくする。

(この考えは今後の物語展開でも重要になってきそう。千が壮五に作曲を勧めた理由が「桜春樹の曲は有限だから」だったからだ。【桜春樹を失った後のi7に未来を与えるのは、壮五の曲】ということになる。)

 

(壮五)涙拭いて見上げたら

(環)見守っている虹のように

(壮五)当たり前で (環)かけがえない

ピースを集めて…(Ah…)

=【i7の7人】を指す。*1

 

MEZZO”にとってi7は「当たり前でかけがえない」「大切にしたいモノ」なのだ。

 

Maybe Maybe 今羽ばたくんだ

ささやかに 日々を 謳って

そして大事な人たちと 分かち合いたいな(Future)

「大事な人」ではなく「大事な人たち」と複数形になっている。「Friends」が複数形だったのと同じ。

MEZZO”は相方だけではなく、i7全員と未来を分かち合いたいと思っている。

 

Maybe Maybe 今伝えたいよ

好きなモノを好きだよって

この瞬間こぼれてく

笑顔をシアワセと呼ぼうよ

Understand?

Very Good!

 

 

考察というより、萌えポイントを書き連ねただけになってしまった感が否めない。

 

が、もう少し萌えポイントを語らせてくれ。

 

 

IDOLiSH7前提のMEZZO

MEZZO“はご存知の通り、やむを得ない理由によってi7よりも先に、しかも、もう7人ではデビューできないかもしれないという状況の中、デビューした。

 

その2人が「7人で未来を分かち合いたい」と歌っているのだ。

MEZZO”2人だけの未来など考えていない。

あくまでIDOLiSH7の7人が前提としてあってこそ成立する、それがMEZZO“の2人なのだ。

 

 

これは実は「MEZZO“」という名前にも言えることだ。

 

音楽用語で「mezzo」は「少し」という意味。

「mp(メッゾピアノ)は「少し弱く」。「mf(メッゾフォルテ)」は「少し強く」である。

 

あるものの量が「少し」だと分かるためには比較対象が必要だ。

つまり、何と比べて「少し」なのか?

 

それは「IDOLiSH7の7人」と比べて、である。

2人だと少しのパワー。7人なら大きなパワー。

 

IDOLiSH7という7人グループが大前提として先にあるからこそ、MEZZO”は活動できる。

IDOLiSH7が無ければ成立しない。

MEZZO“」はそういうユニット名なのだ。

 

とわたしは考えているんですが、本当にこうだったら熱いよね。泣ける。

  

 

 

 


 

 

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【アイナナ】『Fly away!』とフラウェコンビ考察

 

一織・陸コンビ最高ですよね。

というわけで今回は考察と言う名の『Fly away!』萌えポイント書き殴りです。

 

  

以前、【IDOLiSH7はTRIGGER=虹を超えるために空を飛ぶ】と書いた。

 

『Fly away!』はまさにそういう曲。

 

陸というセンターがいて、センターを戦略的にマネージメントする一織がいて。

この2人でIDOLiSH7を引っ張って、虹を超えられるくらい高く飛ぼうぜ、っていう曲だ。

 

タイトルでまず、『MONSTER GENERATiON』のサビ前の歌詞「響け Fly away」を思い出す。『Fly away!』というタイトルはここから取られたんじゃないかと思う。

 

 

 

フラウェコンビの歩み

『Fly away!』では、ストーリー中の一織と陸の関係性がとてもよく表現されている。

ということで、楽曲考察の前にまず一織・陸コンビの歩みをまとめたのでご参照ください。

ちなみにわたしは本当は「いおりく」って呼びたくて仕方がない。 

 

 

一織から見た陸は「典型的な甘ったれの弟気質」(1部3章5話)

そういう一織も三月大好きなブラコン。

三月のために自ら芸能界に入ったからね。大和と三月が喧嘩して寮を出て行った時「兄さんを一人にできません」って言ってついて行ったからね。ハイパーブラコン以外のなんでもない。

 

 

・陸の呼吸器系の病気に一織だけが気付く。

一織「あなたのボーカルはi7の最大の武器と言ってもいい。あなたさえいればi7はいつか必ず日の当たる場所に出られる。それゆえ、グループ最大の爆弾にもなりかねない」(1部5章4話)」

【七瀬陸はi7の爆弾である】

七瀬陸はi7の爆弾です。爆発する時には爆風が起こる。陸の放つ爆風によって、i7は高く浮上し、虹を超えることができる。

しかしそれ故、グループを破壊してしまうリスクも負っている。

 

 

・初めてi7がミュージックフェスタに出演が決まり、この結果で7人でデビューできるか決まろうとしていた。

「九条天の影はもう追わないで。七瀬さんは七瀬さんの歌を歌ってください。私が必ずあなたをスーパースターにします」(1部8章2話)

「一織が陸をスーパースターにする」のちのちまで続く、この約束が初めて出てきたのがここ。

 

 

・JIMA本番前

陸「一織、オレをスーパースターにしてくれるって言ったの、今でも思ってる?」

一織「もちろん。あなたは私たちの爆弾だから、最強の爆発力をお見舞いしてください。爆風がこっちに向いたって、今度こそ完璧にフォローします」

陸「頼りにしてる」(1部20章3話)

ミューフェスでは陸の爆風に負け、フォローできなかった一織。

だがこの時には【七瀬陸は爆弾である】ことを踏まえた上で、陸の弱点も完璧にフォローすると言い切った。

 

 

・陸の体調が悪化。紡は、陸とセンターを代わるよう一織に提案するが、一織は反対する。

一織「七瀬さんは必ず歌ってくれます」

陸「ちゃんと、みんなを引っ張っていくスーパースターになる」

一織「期待しています」(2部3章3話)

この、一織が陸に寄せる過度なまでの「期待」。

この「期待」が陸にとっては重要なのは後述する。

 

 

・陸と一織のセンター交代が決まる。

一織は「センター交代はただの仕事分担。私たちは7人いるんですから、弱点はカバーし合っていけばいい」(2部4章1話)

そう。そうなんだよ。三月の言葉を借りるなら、「IDOLiSH7は完璧な人間が7人じゃなくてもいい。7人で完璧でいい」。

それはまるで、パズルのピースの凹凸を合わせる作業と似ている。

 

 

・センター交代後、一織と陸はギクシャクし始めるが、その理由は…

陸「一織センターの方が売り上げもファンの反応も良くて、自分を否定されたような気持ちになった」

一織「i7随一の歌唱力のあなたの代わりにセンターで歌う私の気持ちがわかりますか?怖くて怖くてたまらなかった。けど皆を、あなたを助けるためにセンターに立った」

陸「オレが一織に嫉妬してるって気づかれたら、呆れられると思った」

一織「馬鹿な人」(2部9章3話)

ただの仲良しコンビじゃないんだよな。一織と陸は。

センター交代で生じた亀裂と、その修復を経て、2人はより強い信頼で結ばれた。

 

 

・陸がセンターに戻った『RESTART POiNTER』初披露。

「自分でセンターに立ってみて、七瀬さんはすごい人だと改めて思いました。皆さんと同じように…いえ、この会場で私が一番七瀬さんのボーカルが好きです」(2部10章4話)

出たッ!必殺!一織の独占欲!

一織は陸への独占欲が半端ない発言をたまにする。

 

 

・夏ノ島音楽祭にて、誰もがTRIGGERに『NATSU☆しようぜ』を歌ってほしいと思っていた。

陸「オレたちがTRIGGERに期待していることを、オレも一織に期待されて、胸が震えるくらい嬉しかった。体が弱かったからみんな優しくしてくれて、それも嬉しかったけど、言われてみたかった。『オレならできるはず、オレにしかできない、オレだから無茶を承知で望んでるんだ、傷だらけになっても頑張ってくれ』って。怖い時も、プレッシャーに負けそうな時もある。だけど、オレに期待する声がオレの背筋を伸ばしてくれる。一織のおかげでかけがえのない自信をもらえた。守られてるだけの自分から変われた。だからずっと期待してて。オレがどんなにボロボロでしんどい時も、一織だけはオレを叱ってよ」(2部16章4話)

ブラホワでTRIGGERと対決した際、「自分には何も出来ないと思ってた。だけどちっぽけなオレにも、出来ることがあるんじゃないかって」考えていた陸(1部20章3話)。

陸は病気を持っているため、人から何かを期待されるという経験がなかった。期待されたことがなかったから、陸自身も「自分は何も出来ない」と自己暗示をかけてしまっていた。

(これを心理学で「ラベリング効果」と言う。)

 

しかし一織は「最強の爆発力をお見舞いしてください」(JIMA時)と言って、「七瀬さんは必ず歌ってくれます」(センター交代直前)と言って、陸に期待を寄せた。

「誰かから期待される」ということを、i7になって初めて経験した陸。

【自信がなかった陸を変えたのは一織】

めっちゃ尊い

 

 

・九条鷹匡が陸の力について、一織に語る。

「天よりもあの子の方がゼロに似ている。だけど悲しい思いはもうこりごりだから七瀬陸のプロデュースはしない。i7は今以上に売れるが長くは続かない。流星のように一瞬で燃え尽きる」(3部2章3話)

 

 

・九条の予言通り、陸の人気は急上昇していったが、一織はその理由がわからず焦る。

「私の知らない力があなたを引き上げていっているんですか?私がスーパースターにすると約束したじゃないですか、七瀬さん。勝手に、ひとりでどこかに行かないで」(3部13章4話)

一織の不安の理由は、陸の人気の原因(=訴求力)が分からなかったからだ。

一織は理論型の策士なので、この原因さえ分かれば、どんな手を打つべきかいくらでも考えることができる。

 

 

・陸がライブ中に泣いたことで、一織が陸の持つ訴求力にはじめて気づく。

「何かを必死で訴えよう、やり遂げようとした時に、見る者の感情を一気に引きずり込み、屈服させ、彼の意思に共感させる。七瀬さんの真価は与えることじゃない。訴えて、求めて、心を支配して、人々の感情を自分の心の傍に引き寄せる。ファンは切実な衝動に駆られる。七瀬陸の願いを叶えなければ。彼の幸せのために何かしなければ。人の心を鷲掴みにし、引きずり込み、掻き集めるブラックホール。それが七瀬陸です」(3部14章5話)

 

 

・陸の悲しい表情に胸を打たれた多くのファンが陸に尽くそうと動けば、ストレスに弱い陸は潰れてしまうと考えた一織。

「七瀬さんはずっと幸せでいてください。私が幸せな環境をキープします」(3部15章1話)

そして、原因が分かった一織が立てた策が「陸にとって幸せな環境をキープすること」だった。

 

 

一織は、i7のメンバーカラーと同じ7色の音符が付いたキーホルダーをお守り代わりに、陸にプレゼントする。(3部16章4話)

陸の幸せをキープするために、まず一織が取った行動が「お守りになるものをあげる」こと。

さあこのお守りが今後どういう役割を果たすのか。

 

 

・『Friends Day』にて、TRIGGERの『SECRET NIGHT』を歌うことが決まった。

一織「私にあなたをコントロールさせてください。私を指針にして、私の顔色を窺っていいか悪いかを判断して。私のどんな要求にも従って。私以上にあなたの成功を考え、あなたを導ける人間はいない。私を嫌って、憎んでも構いません。だけど私を疑わないでください。あなたの願いを叶えるために」

「オレを置いていかないで。オレも置いていかないから。天国でも地獄でも、オレは先に行かないし、一織も先に行かせない」(3部18章5話)

必殺!独占欲ッ!!

「私以上にあなたの成功を考え、あなたを導ける人間はいない」なんてものすごい自信。

一方の陸も「勝手に、ひとりでどこかに行かないで」という一織の不安に気づいていたようだ。

センターである陸と、陸の舵を握る一織。

【一織と陸は2人で1セット】だということが、ここでより強固になった。

 

 

・『Friends Day』で『SECRET NIGHT』を歌いながら

「七瀬さん、あなたをスーパースターにすると約束した。恐らく今夜、その約束が果たせる。その先に何が待つかは分からない。ノアの洪水の始まりの雨かもしれないし、伝説の始まりかもしれない。恐ろしさも不安もある。それでも私はこの先が見たい。大丈夫。私が全てコントロールしてみせる」(3部19章1話)

一織は分かっている。陸の訴求力がもたらすものが悲劇である可能性を。「ノアの洪水」のように、世界の全てが滅びてしまうような、悲惨な結末をもたらす可能性を。

それでも一織は「全てコントロールできる」と考えている。

 

しかし九条が言うところによると「ファンをコントロールすることはできない。本当は大衆がアイドルをコントロールしている」。

 

 

一織は陸のファンをコントロールできるのか。

それとも九条の予想通り、陸のファンは暴走し、i7を滅ぼしてしまうのか。

九条と一織、どちらが正しいのか。

 

今後の一織・陸コンビの動向のポイントはこうなるだろう。

・一織は陸のファンをコントロールし、陸とi7を守り、最悪の悲劇(=IDOLiSH7の崩壊)を防ぐことができるのか?

・陸の願いとは?

 

 

以上、フラウェコンビの歩みでした。

これらを踏まえた上で『Fly away!』の歌詞を見ていくと、ムネアツしか詰まってないから。

 

 

 

 『Fly away!』歌詞について

Fly away!

作詞:yuzuca*

作曲:Shinnosuke

 

You feel it

甘えたキモチは

I feel it

捨てて始めよう

2人とも甘ったれのブラコンなのに、「甘えたキモチは捨てて」いく。それはもう相当な決意の表れ。

 

さぁ一緒に! Fly away!

一緒に」です。「一緒にFly away!」です。これめちゃくちゃ重要。

「勝手にひとりでどこかへ行かないで」と言った一織に対し、「天国でも地獄でも、オレは先に行かないし、一織も先に行かせない」と言った陸。

一織と陸は2人で1セット。

2人は「一緒に」飛ばないと意味がないのだ。

 

(陸)証明しよう!オレにしか出来ない何かがあると!

陸は「『オレならできるはず、オレにしかできない』って言われてみたかった。一織に期待されて、胸が震えるくらい嬉しかった」。

「陸にしか出来ない何かがある」と証明したのは、一織だった。

 

(一織)遠慮なんて要りませんよ? さぁどうぞ!見せてくれますか?

「あなたは私たちの爆弾だから、最強の爆発力をお見舞いしてください」と言って、陸に期待した一織。それは陸にとって初めての経験だった。

 

(陸)相変わらず生意気 いつだって可愛げがない

(一織)あなたに可愛いなんて 思われなくてもいい

 

You feel it

甘えたキモチは もうどっかに捨てて行こう!

(さよなら weak point)

こんなに厳しい世界じゃ潰されてしまうだけだから

病気という「weak point(弱点)」を抱え、「厳しい世界」で「潰されてしまい」そうになっていた陸。

しかし一織のフォローのおかげで、弱点に「さよなら」できる。

 

I feel it

足りないパズルのピースのようになれる!

(フォローするよ!)

こっから見せつけて行くよ!

高みまで さぁ一緒に Fly away!

「私たちは7人いるんですから、弱点はカバーし合っていけばいい」と言った一織。

まるで「パズルのピースのように」互いの弱点を補い合って「フォローするよ」。それがIDOLiSH7のやり方なのだ。

 

(一織)あなたには弱音など 吐いて欲しくないですね

(陸)分かってるよ だからこそひとりで向き合っていたんだよ

 

(一織)頼りなくてなんだか 見てると笑えますけど?

(陸)その自信はどこからくるのか 教えて欲しい

このあたりはそのまんま。

完璧で自信家の一織と、対照的に、病気という弱点を抱え自信がなかった陸。

 

You feel it

誰もが不安と戦い続けている

(コンプレックス)

3倍努力して丁度人並みになれる気がするよ

センター交代が決まる直前、「オレは人より弱いぶん、人の倍頑張るから」と紡に言っていた陸(2部3章2話)。

 

I feel it

チャンスの前では強気で向かって行こう!

(ハッタリでも)

こっから華を咲かせるよ!

高みまで さぁ一緒にFly away!

 

(陸)ムカツク時も正直あるけど その奥の優しさ I feel I feel 

(一織)あなたなら出来る気がして・・・つい・・・

JIMAでも、センター交代の時も、『Friends Day』でシクナイを歌った時も……

一織は常に陸に期待していた。

一織は「あなたなら出来る気がして…つい」陸にいつも期待をかけている。

 

(一織)や・・・やっ・・・ぱ・・・違う!

(陸)違う?

(一織)ち、違う!

(陸)違う?

(一織)もう、どっちだっていい!

うわぁ あぁ!!!

一織のツンデレ具合がとても一織らしくてかわいい。

 

You feel it

甘えたキモチは もうどっかに捨てて行こう!

(さよなら weak point)

こんなに厳しい世界じゃ潰されてしまうだけだから

I feel it

足りないパズルのピースのようになれる!

(フォローするよ!)

こっから共に突き進もう!

高みへと さぁ一緒に Fly away!

 

I feel it

見せつけて行こう

I feel it

華を咲かせよう

I feel it

目指す 高みへと

Fly away

さぁ飛び立てるよ

 

 

 

『Fly away!』は、2人の関係性を映す鏡のような曲。

この2人が引っ張っているから、IDOLiSH7はもっと高みまで「Fly away!」できる。

2人の今までのストーリーを踏まえて聴くと『Fly away!』をより楽しめると思います。

 

 

別所監督も「いおりく」って呼んだのでわたしもCP名じゃない感じで「いおりく」って呼びたい。

 

 

 

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【アイナナ】「エッダのバルドル」について

 

3部20章2話、巳波が言った「エッダのバルドル」のセリフについて、長くなったので別記しました。

3部20章についてはこちらから。

 

ラビチャ・サイドストーリーほぼ未読の状態で書いてます。矛盾などあるかもしれませんがお手柔らかにお願いします。 

 

 

 

 

「エッダのバルドル」と北欧神話について

巳波「あなたはエッダのバルドルです。バルドルを失ったノースメイアは光を失う。そして桜さんはミスティルテインだ。万物がバルドルを傷つけないと誓った時、若い新芽だったミスティルテインだけが誓いを立て損ねた。それを神々の敵に利用され、ミスティルテインバルドルを絶命させる矢となった」

 

気になってストーリー見返してたら、15章2話で「エッダの詩」の話をナギがしていた。伏線が細かすぎてびっくりしたわ。

ナギ「古ノルド語で書かれた『王の写本』や、『歌謡エッダ』と呼ばれるものが代表的。読書家のリクは、『ヴォルスパー』……『巫女の予言』は知っているかもしれません」

陸「ああ、ラグナロクか!北欧神話だもんな!」

(3部15章2話)

 

北欧神話なんて、ミリしらだぜ………

というわけで知識ゼロからのスタートになるわけだが、北欧神話についてググってみた。

 

 

『エッダ』『王の写本』は実在する北欧神話の書。

『王の写本』という書物の一節に『巫女の予言(ヴォルスパー)』があるらしい。

 

ラグナロク」は世界の終末のことを指す。

 

↓以下、バルドルについてWikiから 引用

バルドルは光の神。神々の中でもっとも美しく万人に愛された。

ある日からバルドル自身が死にかける夢を見るようになり、心配した母は世界中の生物・無生物に彼を傷つけないよう約束させた。そのため、いかなる武器でも彼を傷つけることは出来なくなった。

だがこのとき実は、たった一つ、ヤドリギ【ミスティルテインだけは若すぎて契約が出来ていなかった。

 

傷つかなくなったバルドルを祝い、神々はバルドルに様々なものを投げつけるという娯楽にふけっていた。

だが、ヤドリギのことを知ったロキという神が、バルドルの異母兄弟であり、盲目のために遊戯の輪から外れていた神ヘズを唆し、ヤドリギ【ミスティルテイン】を投げさせた。これによりバルドルは命を落としてしまった。

 

バルドルの死によって光を失った世界は終末ラグナロクを迎える。

 

バルドルを失ったノースメイアは光を失う」と巳波は言った。

光の神であるバルドル(=ナギ)を失ったノースメイアは光を失い、ラグナロク…終末へと向かう。

 

では、ノースメイアは今どういった情勢なのか考えてみる。

 

 

 

ノースメイアの情勢について

以前、大和がノースメイアについて調べた時、「ノースメイアは今政治問題でざわついている」と言っていた(16章4話)。

 

巳波とナギの対談で、こんな会話があった。

巳波「ノースメイアは立憲君主制で王室が発言力を持っている」

ナギ「その発言は誤解を招きます。ノースメイアは民主主義を重んじる高度な社会福祉の整った国家」

巳波「若者を中心に、王政復古を唱える人々もいる。皇太子もそれを匂わせる発言をしている。国内では王室支持者が増えており、いずれ主権は王家に戻るでしょう」

(3部19章4話)

 

この発言を見る限り、巳波ってめちゃくちゃノースメイア右派なんじゃないか?

「主権が王室に戻ってほしい」と思っているようにしか見えない。

 

そしてナギはノースメイア国民の主権を強めたいと考えている(もしくは、ナギがノースメイアの主権を王室から国民へと移行させたのか?)。

 

 

恐らくノースメイアの政治の流れはこう。

 

絶対王政(王室が主権)

ナギによる行政改革

立憲君主制(国民が主権、王室は政治に関与せず)

若者を中心に反政府&王政復古の流れが起きる ←イマココ!

 

大和が言った「ノースメイアは政治問題でざわついている」は、「主権を国民から王室に戻そうとする反政府運動が起きている」ということか。

 

 

現代の世界において、立憲君主制国家が再び絶対王政に戻った例はほとんどないと言っていい。

ここも不勉強ながら少し調べてみたところ、ネパールで2005年に立憲君主制から絶対王政への復古が起きたが、独裁反対!という運動が起こり、たった1年で王室は倒れた。らしい。

これが21世紀に唯一起こった王政復古。

 

この時代に、立憲君主制国家が王政復古するなど、限りなくあり得ないことなのだ。

 

ナギがノースメイアにいた頃から王政復古の流れは起きていた。

しかし、ナギは「モルク宮炎上事件」などの反政府運動を鎮圧するだけの実力を持っていたので、ナギがいた頃はまだ王政に戻るなど、あり得なかった。国際社会と同じように。

 

しかしナギがいなくなってから、その「「「あり得ないはずの」」」王政復古が現実味を帯びている

ナギという光の神がいなくなったノースメイアは今、本当にラグナロク…終末に向かっている。

 

 

巳波「あなたは、自分で思っているよりずっと、憎まれている。同時に利用されようとしている。おかげで桜さんはひどいとばっちりを受けていました。あなたの弱味になってしまったせいで、あなたを利用しようとするいくつもの組織に追われ、穏やかに死ぬことすらままならない」

ナギは王室支持派から憎まれている。あるいは王室の中でも浮いている。ナギいわく、王室は「ワタシの母の血を敬遠した」のだから(3部16章3話)。

しかし、社交的で優秀で語学に長けたナギは、国際社会からは信頼を得て愛された。

 

王室支持派は、ナギをリーダーに擁立することで、国際社会に王政復古の正当性を示そうとしている?

国際社会から見れば、「王政復古なんて今時あり得ないけど、あのナギさんが言うなら大丈夫だろう」となるわけだ。

 

そして桜春樹は、ナギをおびき寄せるための餌にされようとしている。ナギを守るため、春樹は逃げ回っている。

 

 

 

ヘズは誰?

再び北欧神話の話に戻る。

『エッダ』のストーリーでは、

 いたずら好きのロキという神が、バルドルの異母兄弟であるヘズを唆し、ヤドリギ【ミスティルテイン】を投げさせた。これによりバルドルは命を落とした。

となっていた。

 

ここで思い出してほしい。

ナギにはいるではないか。

異母兄弟が。

 

ノースメイア第一王子と第二王子(ナギ)は異母兄弟である。

ナギの母親は日本人だから。

 

この神話に則れば、

桜春樹【ミスティルテイン】を利用してナギ【バルドル】を殺すのは、ナギの兄【ヘズ】

ではないか。

(ただし、ヘズはバルドルの異母弟である)

 

ロキは当てはまる人物が思い浮かばなくて苦戦中です。何か分かったら追記します。

 

 

※ロキについて追記

北欧神話において、神は12柱で調和がとれている、とされた。

12神が宴を催していた際、招かれざる「13番目の客」として乱入したのが、ロキだった。

13 (忌み数) - Wikipedia

 

アイドリッシュセブンにおいて、メインのアイドル「IDOLiSH7」「TRIGGER」「Re:vale」は合わせて12人。

この12人のアイドルを、北欧神話の12神になぞらえているとしたら……?

そう仮定すると、13番目——もう1人のアイドルがロキということになる。

ちなみにゼロには、13ではなく「0」という数字がすでに与えられているので、ロキはゼロではないと思う。

 

ということは、ナギ兄【ヘズ】を唆してナギ【バルドルを殺すアイドル【ロキ】は、

 

・すでに登場しており過去にアイドルだった、アイナナ・TRIGGER・Re:vale以外の人物

・もしかしたらZOOLの誰か

・4部で新たに登場するアイドル

 

以上の可能性が高い。

 

 

 

と、こんな感じで3部には北欧神話の伏線が張られており、4部で重要になってきそうだ。

 

この考察はあくまで「こうだったら辻褄が合うね、こうだったら面白いね」という妄想なので悪しからず。

 

北欧神話なんて出してくるアイドリッシュセブンハイカルチャーすぎて振り落とされそうだけど、頑張ってついてこうな!

 

 

 

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アイナナ3部20章

 

3部20章、同時並行で起こってることが多すぎてごちゃごちゃしたので整理しました。

 

 

 今回は大きく【MOP前/MOP本番】の2部構成になっていた。

さらにMOP前は、5か所で違う出来事が同時並行的に起きているという複雑さ。その5つの出来事は以下。

 

1.MOP前日、九条鷹匡宅、九条と楽

2.MOP前日、路地裏、ナギと巳波

3.MOP前日、街、十と了

4.MOP前日、百宅、殺されかける百

5.MOP当日の昼、ゼロアリーナ前、陸と天

 

3と4のシーンは相互に関係していて、3の十が了に指示し、4の百の家にいた手下に電話する。

 

 

 

MOP前

 

1.MOP前日、九条鷹匡宅、九条と楽の会話。

【「天を自由にしてほしい」楽 VS 「天は僕と一緒にゼロを超える」九条】の図式。

 

九条「あの子は望まないことにただ屈服し続けたりはしない。僕の夢を叶えることが、あの子の夢だ」

九条の夢を叶えることが天の夢…というわけではない。

天が「ゼロを超える」「九条さんの夢を叶える」と言う目的は、九条の夢を終わらせ理や悠のような「犠牲者」をもう出さないため。

天は自分が生贄となって、もう犠牲者が出ないようにするつもりだ。夢なんかじゃない。

九条は、天の本当の気持ちになどまったく気づいていない。自分の都合のいいように「僕の夢を叶えることが天の夢だ」と事実を捻じ曲げ、思い込んでいる。

 

「ゼロは僕を裏切った。春樹はゼロを裏切って、ゼロの歌を世界中にばら撒いてる。だから僕は天と一緒に夢を叶えるんだ」

九条が春樹のことを良く思っていなかったのは、春樹がゼロ以外にも自身の曲を歌うことを許したからだと分かった。

(というか世界中って。春樹の曲が歌われているのは、日本とノースメイアだけじゃないのか?)

つまり、九条が好きだったのは「ゼロ」単体ではなく、「春樹の曲を歌うゼロ」だったわけだ。

「ゼロは僕を裏切って夢を途中で終わらせた。」「春樹は、ゼロのものだったはずの曲を、世界中にばら撒いた。」

九条は、ゼロと春樹、2人に裏切られたと感じている。だからゼロを超えるアイドルを創ることで、その穴を埋めようとしている。

 

「天を縛ったことはない。君たちこそ天につけ込むのはやめてくれ。あの子は優しい子だから、君たちが二流でも見捨てられないんだよ」

「天を縛ったことはない」……本当にそうだろうか?確かに始めは、天自身の意志で九条のもとに来たかもしれない。だが今の天は「九条の夢を終わらせるために」自分を犠牲にしようとしている。

九条の存在そのものが天を縛っている。しかも九条にはその意識がない。

「あの子は優しい子だから」と言いながら、まさに九条自身が一番その優しさに甘えていることには気づいていないのだな。

 

2.MOP前日、路地裏、ナギと巳波の会話。

巳波「元気になるといいなんて、自分でも知らないうちに愛情が芽生えていたんでしょうか。虎於さんもトウマさんを追いかけて行った。なんだかんだ気にかけているんですね」

ZOOLに絆が芽生え始めている。これは4部で大きなポイントになるはず。

 

ナギ「『Sakura Message』を歌うワタシは最高だと言ったそうですね。ならば、本当のメッセージを知っていたはず」

巳波「ようやく意味に気づきましたか。噂で聞いていたあなたらしくない」

ナギ「あの方がここまで悪趣味だとは想像していなかった」

「あの方」は誰なのか。

あの方=『Sakura Message』の歌詞を書いた人物=i7の作詞家に電話した人物、と考えていいだろう。その人物は外国なまりの日本語を話す。

さらに、『Sakura Message』の歌詞に込められた本当のメッセージは、ナギにから見ると悪趣味なものだった。

 

ナギ「ハルキに会いましたね」

巳波「ノースメイアでね。遺言状を預かったのも私。安全のため、日本で投函しました」

ナギ「ハルキに会ったのはいつ?」

ここで巳波は答えを渋る。

巳波は、ナギのせいで春樹は消えたと考えている。そのナギに、「誕生日おめでとう」という春樹の言葉を伝えるのは気が引けた…ということか。

 

巳波「6月です。『誕生日おめでとう、ナギ。残念だけど、来年はもう祝えないだろう』と言っていた」

ここで気になるのは【今、何月なのか?】ということ。

 

4話MOPパフォーマンス前、三月が「デビュー1周年の記念の日にMOPにエントリーできて嬉しいです」とコメントしていた。

つまりこの日はIDOLiSH7デビュー1周年記念日前日。

 

IDOLiSH7は『NATSU☆しようぜ』というサマーソングでデビューする予定だった。結局、この曲は日向アキヒトに盗まれ、ほぼ同じ時期にTRIGGERのシングルとしてリリースされた。このことから、IDOLiSH7のデビュー日は夏であるとおおよそ見当がつく。7/7だったらアイナナらしくていいよね。

 

よってこの日は夏だと考えられる。

ただし20章のキャラクターたちがパーカーやジャケットなど、秋服を着ていることとは矛盾するが……それは一旦置いといて。

今が6月だったとしたら「6月に会いました」ではなく「今月会いました」と言うだろうから6月は除外され、今は7月〜遅くとも9月?

 

※追記です。

月雲了の家で流れていたテレビのニュースで、「秋を感じさせるラブソング特集」が組まれていた(15章5話)。

また、『Friends Day』時の百の「秋の夜長に、こたつを囲んでお届けします」というコーナー紹介から(18章3話)、

3部終盤の季節は秋だと思われる。

訂正。【MOP開催時期、及びIDOLiSH7デビュー日は秋】

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『NATSU☆しようぜ』で夏にデビューする予定だったが、TRIGGERに曲を取られてしまったので予定がずれ込み、秋デビューになった?

と考えると自然。

 

 

【巳波が春樹と会った6月は、ストーリー中のいつ頃なのか?】

6章1話、「外の日差しが眩しいな。もう夏ですね。私たちの1周年ツアーもいよいよ始まります」という一織のセリフがあった。

「もう夏ですね」と言うような時期は、まだ本格的な夏ではないが、暑くなり始めた頃、初夏あたりである。ふつう、日本で夏らしい暑さが始まるのは6月〜7月上旬くらい。

とするとこの6章あたりが6月だったのでは、と考えられる。

 

巳波「あなたのせいで死に急いだ桜さんを、助けてくれるんでしょうね!?ナギ・ヴァルハルト・フォン・ノースメイア殿下!」

巳波が「殿下」とはっきり言った。「殿下」は王族・皇族に用いる敬称。

 

3.MOP前日、街、十と了の会話。

了「モモは酔っ払ってマンションのベランダから落ちて死んだよ」

十は「連絡先を教えろ」と了に掴みかかるが、通行人には「撮影です」と言う。

この「撮影です」っていうの、アイドル基本ルールその2でしたね。10章5話に出てきた。

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十は、手下を百の部屋から引き上げさせるよう、了に電話をかけさせる。

 

4.MOP前日、百宅、19章に続き、百といかつい男たちのやり取り。

千が合鍵で百の部屋まで来る。

了から1回目の電話。千から始末するよう指示。

了から2回目の電話。百の部屋から引き上げるよう指示(十が指示させた)。

 

5.MOP当日の昼、ゼロアリーナ前、天と陸の会話。

【TRIGGERを助けるために歌いたい陸 VS ファンのためだけに歌う天】の図式。

 

天「今は遠いな、ゼロアリーナ」

勘違いしそうだがMOPの会場はゼロアリーナではない。

 

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↑ゼロアリーナのこけら落としの背景

 

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↑MOPの背景

 

明らかに違う会場。

TRIGGERの目標はあくまで「ゼロアリーナでライブ」である。

 

陸「今夜、TRIGGERに勝つ。オレが勝ったら家に帰って」

天「取引みたいなことはやめなさい。ボクらはファンのために歌う。他に意味を持たせるべきじゃない。賭けなんてしないよ。遠くまで来ちゃったね。陸のおねだりが、陸の願いを叶えてあげることが好きだった。誰かを幸せにできることがとても嬉しいことだって、教えてくれたのは陸だった。だけど今のキミのやり方には添えない。『Friends Day』で、陸はファンのことを考えずにTRIGGERのことばかり考えてた。あの歓声を引き起こしたのは陸だ。だけどボクは陸の力を認めない」

天は陸の「訴求力」をはっきり否定した。

14章5話、一織が陸の「訴求力」に初めて気づいた時の説明がわかりやすい。

「何かを必死で訴えようとした時、やろうとした時、痛ましさを見せた時に、人々の感情を支配し引き寄せる陸の訴求力は、天が惜しみなくパフォーマンスや愛情を与えて、ファンの心を満たしていくのとは対極にあるものだ」

 

天が陸の訴求力を否定するのは至極当然のこと。

 

陸「ふざけるなよ!自分はオレのために、全部捨てたくせに…」

天「……?」

楽に「亥清が『あいつは病気の弟を助けるためにあんたの養子になった』と言っていた。本当か?」と訊かれた九条は「ある意味ではね」と、否定しなかった。

 

九条のセリフに言葉を足すとするなら「ある意味ではそうとも言えるが、天は陸のために犠牲になったのではなく、自分の意思で養子になった」という意味になる。

天が陸の治療費と引き換えに九条の養子になったことは事実だろう。

 

陸は「天が陸のために全部捨てた」と認識している。

恐らく陸のこのセリフはめちゃくちゃ小声で、天には聞こえていない。

九条が陸の治療費を肩代わりしていた事実を知った時に、陸は「隠し通してくれた両親と天のために、知らない振りを続ける」としていたからだ(15章3話)。

 

陸「MOPで1位になってブラホワでも勝って、日本一になる。それでオレのコネでTRIGGERをテレビに出しまくってやる。オレはオレのやり方で勝って、二度と天にぃに文句は言わせない」

天「ボクらも負けない。ボクのアイドル人生をかけて、全身全霊でキミのやり方を否定してみせる」

【“TRIGGERのために”歌う陸 VS “ファンのために”歌う天】の構図。

 

 

 

MOP本番

シーンは、3話後半からMOP公演へと移る。

 

IDOLiSH7とTRIGGERが対決し、TRIGGERの勝利に終わった。

 

TRIGGERの勝利のキーポイントは2つ。

 

1つ目は【ファンのために歌ったこと】

TRIGGERはひたすらファンを笑顔にすることだけを考えて歌っていた。

 

それに対してi7、特に陸は「オレのやり方を天に認めさせるため」に歌い、「ここにいるみんな(i7)と、一緒に歌っている自分が大好きだ」と考えている。

 

「ファンのみんなが大好きだ」とは言わないんだなあ。

 

MOPは「Music Of People」——「大衆のための音楽」賞である。

この会場では、ファンのために歌わなければいけなかったはず。

 

2つ目の鍵は【グループが一体となっていたこと】

TRIGGERの一体感を表した、象徴的なセリフがあった。

それが、モブ通行人が言った「TRIGGERが一つの生き物みたい」というもの。

 

『In the meantime』の歌詞に「一つになる気持ち良さは尋常じゃないぜ」という部分があった。

初めて聞いた時は、天くんなんちゅうどエロいこと言うてんねん…て思ってたんだけど、MOPで回収されましたね。

 

一方のi7は、6人が想いを込めながら歌うのに対し、ナギだけは「…………。」である。

 

パフォーマンス前のコメントで、大和が「オレたちが揉めてんのなんか知らないはずのファンに、全部見透かされてたような、あの目がずっと忘れられません」と言っていた。

ファンは全部見抜いている。気づいている。

ナギの心がi7から離れていることも、ファンはどこかできっと感じ取っていたはず。

 

一つの生き物に見えるほど一体化したTRIGGERと、i7を抜けようと思っているナギがいるi7。

 

以上の2つのポイントを押さえると、TRIGGERが勝つことは明白だった。

 

 

 

MOP終了後

ナギ「今夜のリクの歌は最高でした。最高の思い出です。これからもみんなを支えてくださいね。ヤマトが教えてくれたのですが、日本の大字で六弥ナギの六は、リクの陸でした」

陸「そういえばそうだ。陸って六って意味もあるんだよね」

ナギ「だからリクがいれば、ワタシたちは理想の形のまま、永遠に途切れません」

ナギは、「自分はi7を抜けるから、“七”瀬 “陸”、あなたが7と6を兼任しろ」と。そう言っている。

 

 

 

「エッダのバルドル」について

 

別記事に記載。

 

 

  

3部はてっきりブラホワでZOOLと対決して終わるもんだと思ってたので、ここで終わってびっくり。ちょっとスッキリしなかったかな。

4部ではナギの伏線が一気に回収されると思うので楽しみです。

 

 

 

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【アイナナ楽曲考察】IDOLiSH7は空を飛ぶ

 

今回はIDOLiSH7の楽曲の歌詞について考えてみましょう。

まず、メインストーリーから少しセリフを引用するので見ていただこう。

 

「TRIGGERのみなさんは、こんなに素敵なものを見られた自分は幸運だと、見た人に思わせてくれる。を見上げた時みたいに。私の夢は、IDOLiSH7がその虹を越えていくことです。」(1部18章2話)

これはIDOLiSH7のマネージャー、小鳥遊紡のセリフだ。

 

「初めてのステージの上で、7人はのように、のように、きらきらと眩しく輝いていた」(1部2章5話)

初めてのライブを行ったIDOLiSH7に紡が感じたモノローグ。

 

「七色の光が束になってになるように、オレたちのハートが同じものを目指してひとつになっていく。」(1部19章3話)

こちらは、JIMAでのパフォーマンス中の七瀬陸のモノローグ。

 

 

 

IDOLiSH7から見たTRIGGERは虹のような存在。
一方、IDOLiSH7にも虹の比喩がよく用いられている。

 

IDOLiSH7の目標は、TRIGGERという「虹」を超える、さらに大きな虹になること】

 

アイドリッシュセブンのストーリー、特に第1部・2部ではこの目標が根底にある。
3部ではどうなるかということは後述。

 

 

 

 

IDOLiSH7は空を飛ぶ

 

虹を超えるためには、物理的にどうすればいい?

 

それは「空を飛ぶ」ことだ。

 

虹、つまりTRIGGERを超えるために、IDOLiSH7は彼らの楽曲の中で頻繁に空を飛んでいる。

 

どういうことかというと…

現在発表されているIDOLiSH7の楽曲(ユニット含める)で、「Jump」「Fly」など、「飛ぶこと」に関連する言葉が含まれる曲が11曲もある(2018年3月現在リリースされているものに限る。抜けあると思いますすみません)。

 

特に多かった語の登場回数を簡単に数えてみると以下のようになった。

Fly(Flight):30回
Jump:16回
High(Higher):14回
虹(レインボー):8回
Sky:4回
空(ソラ):3回

 

「Fly」の圧勝だった。
IDOLiSH7の楽曲には「空を飛ぶ」「高く跳ぶ」を表すワードがかなりの頻度で登場する。
これはTRIGGER・Re:vale・ZOOLの曲には見られない、IDOLiSH7の楽曲の特徴である。

 

(少し逸れるが、前回の記事で「IDOLiSH7のHey!Say!JUMPみ」について書いた。歌詞に「Jump」が多く出てくるあたりもHey!Say!JUMPっぽいかもしれない。)

 

話を戻そう。
以下のように、それぞれの楽曲と「空を飛ぶ」関連の語の登場数をまとめた。

 

 

 

MONSTER GENERATiON

「Jump」×8、「High」×9、「Fly」×7、「Sky」×2

Jump!High!Jump!High!) 褪せない GENERATiONを君と
(One, Two, Three, Four, Five, Six, Seven, Jump!!!
・このMelodyがいつかは(Fly! High! Fly!) 世界中 旅をしてくように 響け Fly away
・Making the sky!
Flight! Flight! Flight! Flight!
・Driving to sky!

 

 

Joker Flag

「Fly」×2、「Jump」×1、「空」×1

・さぁ 最上級の夢を見ようよ Let’s fly!
・そう ハイテンションに地面を蹴って Hi jump!!

 

 

MEMORiES MELODiES

「Higher」×3、「Jump」×2、「虹」×1、「空」×1

・さぁ、色に染めよう
・ヨロコビも(キミと)感動も(一緒に) 連れ出して Higher jump!
・吹き荒れたも 追い風に変わるさ

 

 

GOOD NIGHT AWESOME

「Fly」×12

・Ready for Fly,Fly,Fly この夜に So Fly,Fly,Fly 届くように

 

 

RESTART POiNTER

「Fly」×2、「High」×2、「Jump」×1

Fly high! だから信じている 思うままに駆け抜けろ
・躊躇わず Jump! 感じる痛みはかすり傷さ

 

 

THE FUNKY UNIVERSE

「飛ぶ」×1、「Fly」×2、「Jump」×1

・We go! 僕らはきっと、ヒカリよりも遠くまで飛べる
・煌めくミライにエスコート(Let’s fly, Future dream!!)
・ゼロ距離になろう(Everybody jump!)

 

 

THANK YOU FOR YOUR EVERYTHING

「Jump」×2

Jump! Jump! トビラあけるように Dong! Dong! 進めばいいじゃんか

 

 

WiSH VOYAGE

「ソラ」×1、「虹」×3、「Jump」×1、「Sky」×2

・今、遠いソラ眺めて… いつかあの向こう側 を架けろ Next Harmony!
・何が正解かって 分かんないから Try and Jump!
・揺らせ(For Your Sky
・そうして(To My Sky)感じた(To My Heart)苦しみさえ 勇気になる

 

 

Fly away!

この曲に関してはタイトルがもう飛んでる。

「Fly」×5、「飛ぶ」×1

・高みまで さぁ一緒に! Fly away!
・目指す高みへと Fly away さぁ 飛び立てるよ

 

 

ピタゴラス☆ファイター

「飛び乗れ」×2、「レインボー」×2

飛び乗れ運命はレインボー

 

 

Dear Butterfly

「虹」×1、「羽ばたく」×2

・小さなざわめきは ココロが羽ばたく

・涙拭いて見上げたら 見守っているのように

・Maybe Maybe 今羽ばたくんだ

 

 

以上が空関連の語が含まれる曲。

 

 

『GOOD NIGHT AWESOME』『THANK YOU FOR YOUR EVERYTHING』は結城アイラさん作詞。
『Fly away!』はyuzuca*さん作詞。
それ以外は真崎エリカさんによる詞。

 

真崎さんは「IDOLiSH7のターニングポイントとなる楽曲タイトルには小文字の“i”を入れるルールが、自然と出来上がっていた」と言う。*1

 

よって

『MONSTER GENERATiON』

『MEMORiES MELODiES』

『Perfection Gimmick』

『RESTART POiNTER』

『WiSH VOYAGE』

『ナナツイロ REALiZE』

これらの曲は特にIDOLiSH7にとって重要な意味を持つことになる。

 

 

 

『Perfection Gimmick』について

 

上記の小文字の“i”を含む曲(以下、「“i”楽曲」という)の中で、『Perfection Gimmick』だけが表記が異なる。

この中に含むのであれば、『PERFECTiON GiMMiCK』でもよかったはずだからだ。でもなんかクドイねこの表記。

 

というわけで、パフェギミは「“i”楽曲」に含むのか、微妙なところだが…

この曲は、センターを陸から一織に交代したターニングポイントの曲。

重要でないわけはない。

 

で、現在発表されている6曲の「“i”楽曲」のうち、パフェギミ以外には「空を飛ぶ」関連の言葉が含まれていることは、ただの偶然ではないと思うのだ。

(『ナナツイロ REALiZE』はまだリリース前だが、歌詞に「Rainbow」「虹」が確認できる)

 

逆に、パフェギミだけは、「Jump」「Fly」などといった、空を飛ぶ語が含まれていない。

 

この曲は一織がセンターを務めたことが散々ストーリー内で語られる通り、センターが陸以外であった唯一の曲(グッナイは大和センターっぽい感じがするが、そのような記述はない)。

 

よって、「IDOLiSH7を空に飛ばしているのは七瀬陸である」という仮説が立てられる。

 

「あなたは私たちの爆弾だから、最強の爆発力をお見舞いしてください。爆風がこっちに向いたって、今度こそ完璧にフォローします」(1部20章3話)

ブラホワでメモメロを披露する前、一織は陸にこう言っていた。

 

七瀬陸の放つ爆風によって、IDOLiSH7は空を飛ぶことができるのではないか。

 

 

 

『WiSH VOYAGE』について

 

アニメのOP映像は空港が舞台になっている。

 

真崎さんはこの曲の歌詞について、『MONSTER GENERATiON』と対になるようにしてほしいという旨のオーダーがあったという。


モンジェネに「このメロディーがいつかは 世界中旅をしてくように」とあるが、「空を飛び」「世界中を旅する」ための出発点として、空港が選ばれたのだろう。

 

『WiSH VOYAGE』のこのOP映像は、IDOLiSH7は空を飛ぶ存在なんですよ、ということをあまりに直接的に表しているというか、一番わかりやすい例じゃないかと思う。

 

 

 

IDOLiSH7は星になる

 

【TRIGGER=虹を超え、もっと大きな虹になる】というのが1・2部のIDOLiSH7の目標だった。それが3部では少し様子が違ってくる。

 

第3部では、IDOLiSH7は「」に重ね合わされることが多くなる。

 

・陸「音楽の世界で生きることを夢見る人がたくさんいて、ひとつひとつがみたいに輝いて、天の川みたいに歴史になってる。ゼロもオレたちも、九条も桜春樹も、その大きな流れの中にいるんだな」(3部1章5話)


・九条鷹匡「i7は今以上に売れるが長くは続かない。流星のように一瞬で燃え尽きる」(3部2章3話)

 

・陸「オレたちの歌に誰かの楽しい思い出や、誰かが幸せな物語が繋がってるなら、オレたちが歌うたび、楽しい気持ちや幸せな気持ちをリフレインさせることができる。真っ暗な夜空に、流れ星を降らせるみたいに。オレたちは、にも、虹にもなれる」(3部15章2話)


・一織「(陸に対し)流れ星を降らせて、虹を超えてください」(3部18章5話)

 

3部のIDOLiSH7は虹どころか、もっと高くへ飛んで、「星」という宇宙規模の存在になろうとしている。

 

『MONSTER GENERATiON』に
「例えば 星空 見えないそんな夜でも 心配ないのさ この歌が 照らしている」
とある。
星空が見えない夜でも、IDOLiSH7が星になって照らしている。


『WiSH VOYAGE』には

「まだ Want to Stage! 夢があるよ それは消えない One Star どこかで待ってる」

とある。

「消えない星になることがIDOLiSH7の夢だ」と、この曲ではっきり示されている。

 

3部では【IDOLiSH7は星になる】

 

それがよく表れているのが『THE FUNKY UNIVERSE』という曲だと思う。


この曲はIDOLiSH7の中では若干異質な曲。
「飛ぶ」は「飛ぶ」でも、他の曲のように「虹を超える」とは異なり、「宇宙へ行く」内容になっており、歌詞に「宇宙」や「星」に関連する語が含まれている。

 

・果てない(Search light)ミルキーウェイ【=天の川】
・加速してEarthを超えて 巻き起こすGrooveスーパーノヴァ【=超新星 始めよう!THE FUNKY UNIVERSE
・To rise! 乗り込め Star-Ship【=宇宙船】
・ユニゾンでSpark!シューティン・スター【=流れ星】 止まらない!THE FUNKY UNIVERSE
・We are shooting Galaxy【=宇宙】

 

この曲、「天の川」とか「流れ星」とか、3部に出てくるセリフの単語が入ってくるんですよね。

今後のストーリーの鍵になるかもしれない。
で、もしかしてもしかしたら『THE FUNKY UNIVERSE』がこれからのストーリーで出てきたりしたら嬉しいなあ~とか思ったりするんだが。

 

兎にも角にも『THE FUNKY UNIVERSE』のIDOLiSH7は虹の高さをとっくに超え、宇宙まで飛んでいることは明らか。なんたってEarthを超えてるからね。 

 

 

 

虹を超え、2次元を超える

 

前回の記事でも引用したが、『アイドリッシュセブン』統括プロデューサーの下岡聡吉さんは

アイドリッシュセブンのライバルは3次元かもしれない。近年は“2.5次元”という言葉をよく聞くようになった。今まででは三次元からのアプローチだったが、二次元側からのアプローチするのが『アイドリッシュセブン』。シナリオのとある部分で“虹”を超えてというのがあるのですが、“虹”と“二次”をかけているんですよ

と発言していた。*2

 

 

アイドリッシュセブン』プロジェクトにはそもそも、2次元と3次元の壁を超える目的があった。
もちろんキャラクターたちは2次元に生きているわけだが、より3次元アイドルに近い感覚をファンが抱けるようにしたのだ。
だからストーリーの中で彼らは、3次元アイドルと同じように、傷つき、迷い、自身のアイドル人生が終わることを恐れる。

 

その意味合いが含まれる曲が、またしても『THE FUNKY UNIVERSE』なのだ。

 

僕らはずっと、行けるだろう 次元も超えて

ここがまさに【IDOLiSH7が次元の壁を超えて愛される】ことを表している。

 

当然と言ったら当然かもしれない。

『THE FUNKY UNIVERSE』におけるIDOLiSH7は宇宙まで飛び、とっくに虹(=二次)の高さを超えているのだから。

 

ちなみに同じようなメッセージがTRIGGERの『Last Dimension~引き金をひくのは誰だ~』にも含まれている。

・次元も越えて挑め Last own battle
・次元の狭間 挑む Last own battle
・境界線なんて越えて Start own battle

 

 

 

まとめ 

 

IDOLiSH7の楽曲には「Fly」「High」「Sky」などが頻繁に登場する。それはTRIGGERという「虹」を超えようと、空を飛ぼうとしているからである。


・一織センターの『Perfection Gimmick』には空を飛ぶ単語が見られないことから、陸の爆風によってIDOLiSH7は空を飛ぶことができる、と推測できる。


・ストーリー3部以降のIDOLiSH7は虹よりさらに上空の「星」を目指す。


・紡や一織が言った「虹を超える」というセリフには、「2次元を超える」というダブルミーニングが含まれている。それは『THE FUNKY UNIVERSE』の歌詞に表れている。

 

 

 

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ジャニヲタがアイドリッシュセブンの沼に落ちて救われた話でもする?

 

以前、こちらの記事で「2次元アイドルと現実のアイドルの違い」について書いた。

 

 

わたしは結論として

【2次元アイドルは必ず成功する 現実のアイドルは成功するとは限らない】

【2次元アイドルは半永久的な存在である 現実のアイドルはいつか必ず死ぬ】

ことを示した。 

 

 

私は「2次元アイドルと3次元アイドルを比較するには、まず2次元アイドルを知らなければ」という考えに至り、昨年の夏頃から2次元アイドルに手を出した(言い方)。

まずは手っ取り早く曲を覚えたいと思い、男性アイドルのリズムゲームを片っ端からインストールした。

 

正直に言うと、わたしは2次元と3次元を比べて「ほら、現実のアイドルの方が魅力的だろう」と自分の中で確かめたかった。

「訓練された声優さんの完璧な歌より、粗と伸びしろが残った3次元アイドルの歌の方が魅力的だ」と思っていた。全国のプロデューサー・マネージャーなど各位、ごめんなさい。

 

 

こういったリズムゲームは大抵、リズムゲーム機能とストーリー機能を併せ持っている。しかしわたしは曲を覚えることが目的だったため、ほとんどのゲームのストーリーは飛ばし読みしていた。 

 

が、『アイドリッシュセブン』は違った。

楽曲を解放するためにストーリーを飛ばし読みしていたわたしが、アイドリッシュセブンではストーリーを読むために楽曲をプレイした。

そして音速で沼にドボンした。

ちなみにこれはプレイ始めて10日くらいである。

 

わたしの中の2次元アイドル観は、アイドリッシュセブンとの出会いによって135°くらいは変わった。

紀元前/紀元後みたいに、「アイドリッシュセブン/アイドリッシュセブン後」に分けられるくらい。 

 

この記事ではジャニヲタ視点から、『アイドリッシュセブン』のストーリーの何がこんなにもわたしの心を掴んだのか、振り返ってみた。

 

 

  

 

アイドリッシュセブンHey!Say!JUMPみについて

 

アイドリッシュセブン』のストーリーの1番の特徴、それは

【底抜けに明るくない】ことだ。

感覚だが、 明るいパート50/暗雲パート50 くらいの割合で、暗い。

アイドルたちは重い過去を背負い、芸能界の陰謀に飲まれ、挫折し、傷つく。

傷を抱えながら、苦しみながら、トップを目指し続ける。

そんな2次元アイドルを、わたしは見たことがなかった。

 

明るく前向きなアイドルの表面だけでなく、彼らがその背中に何を背負っているのか、何に苦しんでいるのか……そういう裏面を描くことで、よりリアルに感じられる。

だから元々3次元アイドルが好きなわたしは、違和感なくこの物語を受け入れることができた。 

 

 

ぼかしても仕方ないのではっきり言う。

わたしはストーリーを読みながら、アイドリッシュセブンというグループを、Hey!Say!JUMPに重ねていた。

 

わたしは以前、Hey!Say!JUMPの伊野尾慧くんの担当だった。

彼らが今ほど人気が出るまでは、楽しいことと同じくらい波乱もあったグループだと思う。楽しいことも苦しいことも、ファンとHey!Say!JUMPは一緒に感じてきたと、勝手に思っている。

 

そんなHey!Say!JUMPの姿とアイドリッシュセブンが重なってしまう場面が多々あったのだ。

その度にわたしは「ああ、Hey!Say!JUMPもそうだったのだろうか」と、思い返しては涙を流した。

2次元アイドルを見て泣くなんて、『アイドリッシュセブン』に出会う前の自分は思ってもみなかった。

 

以下、その具体的な場面を示していく。 

 

 

空席だらけのライブ

・1部2章4~5話

アイドリッシュセブンは初ライブに臨む。サイトのアクセスは上々で、多くのお客さんが入ると思われていた。

しかし当日、蓋を開けてみれば、お客さんは9人しか入っていなかった。ガラガラの会場でも、全力で歌い踊るアイドリッシュセブン

 

   ◆

 

「ガラガラのライブ」でわたしが思い出したのは、「全国へJUMPツアー2013」東京ドーム公演だった。

このツアーはHey!Say!JUMP史上1番に公演箇所が多く、ファンの数と会場のキャパシティーが見合っていなかった。東京ドーム公演は多くのチケットが余り、急遽Sexy ZoneA.B.C-Zを応援に呼ぶことになった。それでも満席とはいかず、3階席の一部が黒幕と風船で潰された。

その光景を見て、わたしは痛ましさに泣き出しそうになった。 

ライブ最後のあいさつで、中島裕翔くんが言った。
「僕たちから離れないでください」
とても悲痛な叫びに聞こえた。ふつう、ライブのあいさつで聞かれるような言葉ではない。だけど、ファンでさえこの言葉を真剣に受け止めてしまうほど、この頃のHey!Say!JUMPは逼迫していた。

その時の裕翔くんの顔を、わたしは今でも忘れられずにいる。

 

 

 満員になったライブ

・1部6章3~5話

アイドリッシュセブンはガラガラのファーストライブと同じ会場でライブをするが、今回は満員になった。

 

   ◆

 

全国へJUMPツアーの翌年、同じ東京ドームで、Hey!Say!JUMPはコンサートを行った。それがLive with me in 東京ドーム」だ。

このコンサートでは応援グループを呼ぶこともなく、Hey!Say!JUMPのファンだけで席が埋まった。

本当によかった。コール&レスポンスの一体感に鳥肌が立った。

 

 

メンバー2人が別ユニットで活動

・1部7章~9章

四葉環と逢坂壮五の2人の人気が極端に上がり、八乙女事務所という他事務所から引き抜かれそうになる。その対策として、2人は別ユニット「MEZZO”」として、アイドリッシュセブンよりも先にデビューすることになる。

 

   ◆

 

この時わたしは『NYC』というユニットを思い出していた。

Hey!Say!JUMPの山田涼介くん・知念侑李くんに加え、中山優馬くんの3人で、Hey!Say!JUMPとは別にデビューしたユニットだ。

 

Hey!Say!JUMPファンの反応はさまざまだった。彼らの活動を楽しみにする者もいれば、疎む者もいた。NYCの活動によって、Hey!Say!JUMPの活動が制約されることを恐れたからだ。 

確かに、山田くんと知念くんはメンバーの中でも特に人気・知名度が高かった。世間一般的にHey!Say!JUMPは「山田・知念とそれ以外」と認識されることも少なくなかった。

 

一部のメンバーの人気が上がる——メンバー2人が別ユニットとして活動する——そんな状況を、Hey!Say!JUMPと重ねずにいられなかった。

 

 

大人の事情が絡むテレビというメディア

・1部15章3話

八乙女事務所のアイドルグループ、TRIGGERは、社長がテレビ局と揉めたために、音楽番組「サウンドシップ」への出演が取り消しになってしまう。

 

   ◆

 

大人の事情によってアイドルのテレビ出演が制限される。わたしはこの状況を知っていた。

数年前まで、ジャニーズ内部には「派閥」が存在していた(と言われている)。

ジャニーズ所属グループは「藤島ジュリー派」と「飯島派」に大別され、互いの派閥のグループは共演することがほとんどなかった(と言われている)。

アイドルのテレビ出演には、さまざまな大人の事情が絡んでいる。このシーンは、あの頃のゴタゴタしていた(と言われる)ジャニーズの裏側を思い出させ、わたしはなんともやるせない気持ちになった。 

 

 

センター交代

・2部3~4章

アイドリッシュセブンのセンター七瀬陸は、体調悪化により和泉一織とセンターを交代することになった。陸はネットでエゴサーチし、一織センターの評判が良いことに傷つく。一織はのちに、「センターに立つことが怖くてたまらなかった」と吐露している。

2部7章4話、陸と一織のファン同士も言い合いになっていた。

 

   ◆

 

Hey!Say!JUMPにもあった。「センター交代」という出来事が。

彼らのデビュー時、センターは中島裕翔くんだった。

しかしセカンドシングルから突然、センターは山田くんに替わった。このことは結果として、2人を長く苦しめていた。インタビューなどで「当時は仲が良くなかった」と、本人たちは回想している。

また、彼らのファン同士が揉めることもしばしばあった。

山田くんはセンターに立つことに、裕翔くんはセンターに立てなかったことに、外野からは見えないプレッシャーを感じていたのだろう。

 

陸と一織はまさにそうだった。お互いを比べ、劣等感に溺れる。

「ああ、これ、やまゆとだ……」そう言ってわたしはまた泣いた。

 

 

 

アイドルファンが共感できるセリフたち

 

さらにピンポイントに、キャラクターのセリフに注目してみた。

アイドリッシュセブンの劇中には、アイドルファンなら思わず「わかる!」と口に出してしまいそうなリアルなセリフが多数飛び出す。

 

 

プロである以上、どのライブも同じクオリティのものを提供する。レストランで同じ値段を払ってオムライスを食べて、昨日は美味しくて今日はまずかったら嫌でしょう?」(1部4章3話) 

体調不良でライブに出られないはずだった九条天は、しかし病院を抜け出しステージに立った。その時に言ったのがこのセリフ。

 

   ◆

 

これは、堂本光一くんも似たようなことを言っていた記憶がある。「『SHOCK』はどの公演も同じクオリティのものを届ける。どのファンに対しても平等に対応する」というような。

九条天くんのプロ意識はとても光一くんに近いものがある。

 

 

心の底から“頑張ってください”と応援したくなる気持ちと、“もう頑張らなくていいですよ”と泣いてお願いしたくなる気持ちが行ったり来たりする」(2部3章2話) 

体調が優れず、ステージに立つこともままならなくなった陸。それでもセンターであり続けたいと言った陸に、マネージャーである紡がこぼしたモノローグ。

 

   ◆

 

今まさにわたしが、欅坂46の平手さんに抱いているのがこの感情。

昔、山田くんがソロシングル『ミステリーヴァージン』を出した時も、同じような気持ちだった。山田くんはのちに「ソロデビューは、するかしないかずっと迷っていた」と言っていた。

センターに立って頑張る君も素敵だけど、無理をしてまでそこに立たなくていい。センターに立たない君もきっとみんな受け入れてくれる。だから、頑張ってほしいけど、同じくらい頑張らなくていいとも思う。

 

 

アイドルを苦しめるのはいつだって、好きの感情なんだよ。ファンが増えれば増えるほど好きの種類が無限に増えていく。でも全部の期待には応えられない。それが彼らを苦しめる。アイドルは人を幸せにして、愛されるのが好きな奴らだから。期待があるから不満が生まれて、好きがあるから嫌いが生まれる」(2部4章4話)

アイドリッシュセブンの先輩グループ、Re:valeの百が、人気が出たてのアイドリッシュセブンを気にして紡に言ったセリフ。

 

   ◆

 

これはわたし、ああ、本当にそうだなあって思ったんですよ。

伊野尾くんの担当を辞めようとしていた時、茶髪マッシュの髪型や猫好きキャラが嫌で仕方なかった。それ以前の、黒髪で犬を飼っていた伊野尾くんがかき消されてしまうようで。それからわたしはネットなどに、伊野尾くんの批判も書き込むようになった。

だけどわたしは伊野尾くんを嫌いになったわけじゃない。今だってもう担当ではないけど、嫌いではない。好きだったからこそ、「変わらないでいてほしい」「こうだったらもっといいのに」という欲が出てきてしまう。それが結果として、批判のような言葉を生んでしまった。

この百くんのセリフを見て、わたしはハッとした。

 

 

「ファンと交わした約束は絶対に破らない。アイドルなら当然のことだ。(約束とは)コンサートチケットだ。その日必ずそこに行って、笑顔で全力を尽くす約束」(2部5章1話)

九条天くんのセリフ。

 

   ◆

 

これまた、はあ~!ってなった。

「コンサートチケットはその日必ずそこに行って、笑顔で全力を尽くす約束。」

 

リピートアフターミーですよ。

「コンサートチケットはその日必ずそこに行って、笑顔で全力を尽くす約束。」

 

だからわたしたちファンも、そのチケットを買った以上は、彼らに会いに行けるよう努力しよう。そう思った。

 

 

俺たちはスターなんかじゃないけど、見上げてくれる人たちがいるから、体中に精一杯、銀紙貼っ付けて星のフリしてんだ。せめてその人たちの前では笑ってたいから、飛べもしないのに必死で宙に浮かんでるフリしてるんだ」(3部7章4話)

Re:valeの百のセリフ。

 

   ◆

 

このセリフは衝撃だった。

A.B.C-ZHey!Say!JUMPも、全てのアイドルたちだって、少し道が違えば普通の人だったかもしれない。彼らは至って普通の少年で、人並みに怒ったり傷ついたりミスしたりすることも、わたしは知っている。

ひとつだけ違うのは、綺麗な衣装を着て、ステージの上で光ろうと努力していること。

その銀紙を剥いでしまえば、彼らはアイドルじゃない。普通の人間なのだ。その弱い部分も、全然完璧じゃない部分も好きだなあって、改めて思った。

 

 

「(理想のアイドルは)終わらないアイドルよ。夢が終わるところなんて見たくないもの。日本一のトップスターじゃなくたって、顔に傷があったって、声が出なくたって、終わらせないでくれたらそれでいいのよ。だけどその夢を叶えるのが一番難しい」(3部14章2話)

TRIGGERのマネージャー、姉鷺カオルのセリフ。

 

   ◆

 

これぞ、わたしが冒頭の記事で出した結論だ——【3次元アイドルにはいつか必ず終わりが来る】。

Hey!Say!JUMPからメンバーが脱退するなんて。NEWSが4人になるなんて。SMAPが解散するなんて。誰も考えていなかった。だけど彼らのうち、ある者は形を変え、ある者は形そのものを消した。

生身の人間である以上、永遠なんて存在しない。

アイドリッシュセブン劇中では「理想のアイドルは終わらないアイドル」とされているが、それは実現できるのだろうか?彼らの顛末を見守りたい。 

 

 

 

以上、ジャニーズ畑育ちの人間が『アイドリッシュセブン』のジャニーズみについて、考えてみた。

 

アイドリッシュセブンについてのインタビューなどを読んでいるうち、統括プロデューサーの下岡聡吉氏がこんなことを言っている記事を見つけた。

アイドリッシュセブンのライバルは3次元かもしれない。アイドリッシュセブンのコンテンツが2次元を超えることが願望」*1

 

そうらしいです。アイドリッシュセブンは、確実に3次元アイドルを意識して作られていた。

もともとジャニヲタはターゲットど真ん中だったのかもしれない。

 

 

 

アイドリッシュセブンHey!Say!JUMPと重なる」という話をした。

どう表したらいいのか悩ましいが……

Hey!Say!JUMPの担当だった時、苦虫を噛み潰すような思いもした。

しかしアイドリッシュセブンが物語内で困難を乗り越えてくれたおかげで、わたしは「Hey!Say!JUMPもきっともう大丈夫だ」と思うことができた。

 

救われたように感じたんだ。

 

2次元アイドルが、2次元の壁を超えて、3次元アイドルに働きかけた瞬間だった。

まんまと製作の思うツボ。

 

 

 

ちなみに以前、ゲーム中に登場するアイドルグループがそれぞれ、どのジャニーズグループっぽいか当てはめてみていた。異論はめちゃくちゃ認める。

アイドリッシュセブンはHey!Say!JUMPだし、めっぞはやまゆとだし、りばーれはKinKi Kidsだし、ずーるはKAT-TUN

TRIGGERは難しかったが、考えに考え「少年隊だわ」という結論に至った。

 

このような強めのジャニヲタフィルターがかかった記事を読んでいただきありがとうございました。

少しでも共感いただけた方……興味を持っていただけたジャニヲタの方がもし……もしいらっしゃったら、騙されたと思ってアプリをインストールしてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

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