A.B.C-Zの最新アルバム『5 Performer-Z』の初回限定盤のDVDには、A.B.C
-Zのお弁当作り対決が収録されている。かわいい。
お弁当をカメラに見せる
戸塚祥太くんの手がアップになった時、そ
の手に結構な大きさの虫刺されがあるのを見つけた。
わたしはその時めちゃくちゃテンションが上がった。
見てください!この薬指のおおーきな虫刺され!(高田社長)
うん………。
えーと、一応言っておこう。変態は自覚の上である。
その時わたしは、「これだよ!これ!わたしが3次元のアイドルを好きな意味!」と発言した。
虫刺されに意味もクソもあるか、とは思うが……
近年、世の中にはたくさんの2次元アイドルが生み出されている。
2次元アイドルは当然ながら、虫に刺されない。
わたしは2次元と3次元とを比較して、〈わたしと同じ人間であり、わたしと同じように虫に刺される〉3次元アイドルに親近感を覚えたわけだ。
わたしはその虫刺されをきっかけに、3次元アイドルを応援する意味って何だろう?と考えるようになった。
彼女の逝去はアイドルファンに大変なショックを与えた。
「あいあいさんの声が高いこと」
しか知らず、
松野莉奈さんの顔と名前はこの時初めて認識した。
それでも、現役で活躍するアイドルが急逝したという事実は、私たちアイドルファンの心を激しく揺さぶった。
全国のかなりの割合のアイドルファンはこう思ったのではないだろうか?
「もし、自担・推しに同じことが起きたら」。
少なくともわたしは考えた。
不謹慎極まりないが、考えずにいられなかった。
一度だけではない。
わたしはその想像の結論として、
A.B.C-Zのファンを続けら
れなくなる、という答えを出した。
4人や3人では不完全だ。
もし自担が、自担以外の4人の誰かが、突然欠けてしまったとしたら……
完全形ではない
A.B.C-Zを見ることが辛くて、ファンを辞め
てしまうだろう。
それどころかわたしはアイドルというコンテンツを追いかけること自体、できなくなるかもしれない。
彼女の逝去を受けて、そんなことを考えずにはいられなかったのだ。
しかしその数ヶ月後、
私立恵比寿中学はアイドルグループとして活
動を再開した。
披露した曲は『なないろ』。
彼女たちは涙で目をキラキラさせながらこう歌った。
「会いたくて 会いたくて 君の名前呼んだよ」。
自分でもびっくりしたんだけど、わたしはごく自然に涙を流していた。
その歌詞を歌うメンバーの頭に誰の顔が浮かんでいたのか、一目瞭然だったからだ。
2次元アイドルにあって3次元アイドルにないもの
ちょっと話は変わるが、昨今の2次元アイドルブームは目を見張るものがある。
まだ勉強不足だが、どうやら2次元アイドル市場の売上げは右肩上がりのようだ。
その存在が注目されたのは2010年の『うたの☆プリンスさまっ』が最初だったと記憶している。
バリバリのジャニヲタしてたわたしの耳にも『マジLOVE1000%』は届いていた。
(実は最近2次元と3次元アイドルを比較したいと思って、2次元男性アイドル育成ゲームを複数始め、見事に沼にハマったわけなんだけど……その話はまたの機会に)
そんなドドドにわかなわたしでさえ、
ラブライブ・
アイマス・アイ
ナナ・あんスタ・
ツキウタ。・Bプロ・キンプリ………など、思い
付くだけでこれだけの2次元アイドルを挙げることができる。
物語の進行上、彼ら・彼女らにはハッピーエンドが約束されている。
最後まで全く売れず、くすぶったまま終わる2次元アイドルというのは聞いたことがない。
それは彼らのファンが、彼らに自分を投影し、成功する喜びを追体験するためのコンテンツとして彼らが生み出されたからだ。
その「確約された成功の
追体験」がたくさんの人に受け入れられた
から、2次元アイドルは売れ続けている。
とわたしは考えている。
しかし現実のアイドルは違う。
デビューしたばかりでドカーンと売れてしまう子がいれば、何年も、十何年も努力を続けてもそれが実らずに終わってしまう子もいる。
彼らが夢だと公言する「東京ドームでの単独コンサート」をこの目で見るまでファンを辞めるつもりはないが、今の売上ペースだといつになるやら……というのが本音。
でも諦めたくはない。
東京ドームでコンサートというハッピーエンドが約束されていないとしても、だ。
夢は叶えることではなく、追いかけることに意味があるのではないか。
〈現実のアイドルに成功は約束されていない〉
それが2次元と3次元のアイドルの一番大きな違いのひとつだ。
もうひとつ大きな違いがある。
それは〈3次元アイドルはいつか必ず死ぬ〉ということだ。
彼らは生身の人間だ。
生物はすべからく年を取り、いつか必ず命が尽きる。
3次元アイドルにはいつか必ず終わりが来る。
松野莉奈さんによって、わたしたちは当たり前だったはずのその事
実を思い出した。
わたしの担当も、これを読んでいるあなたの推しも、勿論わたし自身も、いつか死ぬ。
それは70年後かもしれないし、明日かもしれないし今日かもしれない。
しかし死が待っているからこそ、彼らが今生きている幸福を噛みしめることができる。
2次元アイドルは作り手がいる限り永久である(もちろん中の人、つまり声優さんは生身の人間だが)。
彼らは死ぬことがない。
2次元アイドルの半永久的な魅力にも、わたしはとても惹かれる。
どちらが良くてどちらが悪いという話ではなく、2次元には2次元の、3次元には3次元の良さがある。
ただ、3次元アイドルは思っていたよりも儚い存在だった。
3次元アイドルを応援していくために
ここまで書いたように、わたしが思う2次元と3次元のアイドルの大きな違いはこの2つにある。
〈3次元アイドルは必ずしも売れるとは限らない〉
だからこそ彼ら・彼女らを本気で応援したいと思う。
〈3次元アイドルにはいつか必ず終わりが来る〉
彼らの一瞬一瞬は後にはもう戻ってこない。
だから彼らが今、生きている時間を大切にしたい。
虫に刺されるのは生きている証だ。
振りを間違えるのも、髪色が迷走するのも、スキャンダルを抜かれるのも……
一見アイドルにとってマイナス要素に見えても、生身の人間だからこそ起こることなのだ。
嵐の二宮さんが昔、
「雑誌の写真とかってニキビがあったりしたら修正するでしょ?しなくていいと思うんだよね。ニキビがある俺が本当の俺だから。」
という趣旨のことを言ってて。
本当にその通りだなあと思ったのを思い出す。
そういう欠点も全部ひっくるめた人間として、彼らを好きでいたい。
自担の手の虫刺されは、彼が今生きているという、当たり前すぎて見逃していた大切なことに気付かせてくれた。
ちなみに戸塚くんが作ったお弁当これ。
ご飯のお堀の中にシュウマイ地獄。
最高に気持ち悪い。好き。