消えていく星の流線を

デフォで重め

『願いはShine On The Sea』考察

 

『願いはShine On The Sea』は凄い曲だ。

 

この曲はアイドリッシュセブンのストーリーを知っているのと、知らないのとでは意味が全く違って聴こえる。

凄い曲だ。

 

他の多くの曲にも当てはまることだが、アイドリッシュセブンに登場するアイドルたちの曲はストーリーとリンクしており、まるでそのシーンの主題歌のように聴こえる。

これはアイドリッシュセブンというプロジェクトの大きな特徴である。

音楽によって、プレイヤーはよりストーリーに没入させられる。

 

『願いはShine On The Sea』も例に漏れず、TRIGGERを彩る“主題歌”になっている。

 

今回は『願いはShine On The Sea』とTRIGGER周辺のストーリーの関連について考える。

 

 

 

 

 

 

ストーリーとの関連

この曲は、アイドリッシュセブンメインストーリー3部11章5話で初めて登場する。

 

プレイ済みの方はご存知だと思うが、アイナナ3部はもう本当に色々、ものすごくて残酷だ。

3部では大手芸能事務所であるツクモプロダクションが登場する。その新社長に、アイドルを目の敵にする月雲了が就任したことから、アイドルたちは茨の道を進むことになる……

 

もうなんか、月雲了は目も当てられないようなことを平気で仕掛けてくるんだけど、11章は特に酷かった。

 

東京国際音楽芸術祭での新曲初披露を控えたTRIGGER。

しかし月雲了はTRIGGERを失脚させるため、悪い人たちのツテを利用してTRIGGERのメンバーを拉致監禁し、東京国際音楽芸術祭の出演をドタキャンさせようとする。

 

は、は……

 

犯罪じゃねえか……

普通に、これ犯罪じゃねえか……

 

TRIGGERは以前、事務所社長とテレビ局が揉めたことから、音楽番組「サウンドシップ」出演をドタキャンしている。

東京国際音楽芸術祭は格式高い、ちゃんとした音楽祭である。そんな舞台を、しかも1度ならず2度までもドタキャンしたとなれば、TRIGGERの信頼は地に堕ちる。

なんて卑怯なんだ、月雲了。

 

TRIGGERに連絡がつかないため、i7とRe:valeはTRIGGER捜索に乗り出す。

無事に全員救出されるが、天と楽はTRIGGERの出番までに会場に着くことができなかった。

かくして、新曲披露のステージには、十龍之介だけが立つことになった…

 

この時、十が1人で歌った新曲が、『願いはShine On The Sea』だった。

 

 

 

十は舞台袖で月雲と会うが、その時にこんな話をした。

十「俺は漁師の息子です。海では、恵も災いも、神様次第だった。突然の高波や嵐が訪れる恐怖と隣り合わせだった。でも芸能界は人の作った世界。たとえ全て失うことになっても、命まで奪われることはない。裸の俺に戻るだけです。何も怖くない。

ひどい天災に対抗できるものは、いつだってたったひとつ、人の和だった。TRIGGERは俺の胸の中にいる。ここにいる2人はあなたには奪えない。あなたは、ちっぽけで、無力だ」

 

漁師の息子である彼は、芸能界を海に例えた。

大荒れの海のような芸能界を渡るのも、TRIGGERの2人と一緒なら怖くない。十はそう言い切った。

 

 

 

また、八乙女事務所のTRIGGERとしての、最後のテレビ出演となったミュージックフェスタで披露したのもこの曲だった(12章5話)。

 

この出番直前(12章4話)に、TRIGGERとZOOLが会話するシーンがある。

このシーンのTRIGGERのセリフは『願いはShine On The Sea』の歌詞とダイレクトに繋がっており、歌詞を読むうえでとても重要になる。

以下にもちょくちょくここのTRIGGERのセリフを例示するので、ぜひ気にしてみてほしい。

 

 

 

『願いはShine On The Sea』はストーリーで2回登場するが、その場面は…

 

・東京国際音楽芸術祭で十が1人で歌った

・八乙女事務所のTRIGGERとしての、最後のテレビ出演で歌った

 

このように、TRIGGERのターニングポイントで歌われたことを押さえておきたい。

 

 

 

 

タイトルの意味

『願いはShine On The Sea』は直訳すると「願いは海の上の輝き」となる。

先述の十のセリフから、【 Sea =芸能界】を表している。

 

では、「Shine」は何を指しているのか?

 

 

Dメロに

水面を照らしてる太陽のように 誰かを癒す愛を注ぎたい 届いてよ… キミのもとへ

という歌詞が出てくる。

 

TRIGGERが愛を注ぐ対象は「ファン」である。TRIGGERはいつだってファンを喜ばせたい一心で、ファンに誇れるものを作ってきた。

歌詞に出てくる、この「誰か」「キミ」は「ファン」を指すと考えてよい。

 

TRIGGERは海の水面を照らす太陽のように、ファンに愛を注ぎたい……

この歌詞から、【 Shine =ファンを照らすこと】とわかる。

 

「海」=芸能界を指しているわけだが、「(海の)水面を照らしてる太陽のように」という部分は言い換えれば、

「芸能界(=海)の頂点で輝きたい」と、読むことができる。

 

『願いはShine On The Sea』というタイトルは、

 

【芸能界という海の頂点で輝き、再びファンを笑顔にしたい】

 

というTRIGGERの願いを表している。

 

 

 

 

九条天のアイドル観との関連

この曲は九条天のアイドル観、アイドルとしての意識を多分に反映していると感じる。

(わたし自身が天推しなので、贔屓目になってしまうのかもしれないが笑)

 

以下に考察する九条天のプロ意識は、そのままTRIGGER全体の意識にもなっていると言える。

 

何故かというと、九条天はセンターだから。

「センター次第でグループの路線、カラーが決まる」とは、一織も言っていたこと(1部3章2話)で、センターである天の意識は、そのままTRIGGERというグループ全体の意識として捉えてよい。

 

 

「キミが笑ってくれるとすごく 嬉しくなる感覚」

例のミュージックフェスタの出番の前に、天はこんなことを言っていた。

天「ボクの歌や姿が誰かの目に映って、その人の胸を震わせて笑顔にする瞬間が欲しい。奉仕や献身じゃない。ボクの望みだ」(3部12章4話)

 

さらに、一織は天についてこんな分析をしていた。

「九条さんは、完璧なパフォーマンスと深い愛情を、ファンに惜しみなく与えていく」(3部14章5話)

 

この、「完璧なパフォーマンスと惜しみない愛情を注ぎ、ファンを笑顔にする」ということが、九条天のアイドルとしての信念であり、揺るぎない軸なのである。

 

また、これは「奉仕や献身じゃなくボク自身の望みである」と本人がはっきり口にしている。

ファンを笑顔にすることで、天自身の心も満たされるのだ。

 

これは、曲中の2番の天ソロパート

キミが笑ってくれるとすごく 嬉しくなる感覚

という箇所に表されている。

「キミ」は「ファン」のことを指すので、「ファンが笑ってくれると、天自身も嬉しくなる」という、天のアイドル観と一致する。

 

 

「泳ぎ続けるだろう   どんな時でも」

九条天のプロ意識の高さは並ではないが、とりわけ、「世界が終わる日まで、どんな時も歌って踊る」ということを公言し続けている。

 

天「隕石が落ちて世界が絶望している時にも、笑って歌うのがボクらの仕事。それを九条さんが教えてくれた」(2部5章2話)

 

天「雨に歌って、*1闇に笑って、地獄で踊る。ボクらの仕事は何も変わらない。世界が終わる日まで」(3部14章3話)

 

この、「世界が終わる日までどんな時でも歌い踊る」天の精神が

泳ぎ続けるだろう   どんな時でも

という箇所に表れている。

 

「泳ぎ続ける」は、「(海=芸能界を)泳ぎ続ける」ということ。

 

実際に、八乙女事務所を離れた時にも、TRIGGERの3人には「解散」という選択肢は眼中になかった。

3人は芸能界を泳ぎ続ける決断をしたのだ。

 

 

 

 

TRIGGERの「プライド」

大事なPrideならば持っているだろう?

という歌詞について。

3部のセリフで、何度か「プライド」という言葉が出てきていた。

 

十「精一杯歌って、精一杯踊ってる。そこにはなんの手抜きもしてない。全力を尽くしてるプライドがある」(3部3章2話)

 

天「ボクは自分の意志で、自分のプライドで、自分のしたいことをしてきた。後悔なんてない」(3部12章4話)

 

TRIGGER「完璧な歌を、ステップを、ボクらをここに置いていく。自分のプライドのために、ファンのために、一緒に戦ってきた仲間のために」(3部20章4話)

 

十のセリフが一番よくわかるが、TRIGGERのプライドとは「ステージに全力を尽くしているプライド」だ。

 

やはりミューフェスでこの曲を歌う前の話になるが、八乙女楽が

「俺たちは包装紙に傷が入っただけで、中身は変わらず一級品だ」(3部12章4話)

と言っていた。

 

「包装紙に傷が入った」は、「八乙女事務所というブランドの箔がなくなった」ということ。

TRIGGERは八乙女事務所を離れても、全力を尽くしてパフォーマンスしてきたという事実は消えないし、それが今のTRIGGERの自信になっている。

TRIGGERのプライドは今までも、これからも、消えることがないだろう。

 

 

 

 

さて、次からは歌詞を見ながら読んでいく。

 

 

 

 

願いはShine On The Sea

作詞:結城アイラ

作曲:藤井亮太

 

(天)願いよ届け たとえ遠くても   Oh

ゆるぎない夢があるから…

 

ウツシダセ モット (Stop light)

カラダ モヤシテ (Feel more live)

ウツシダセ ゼンブ ミセヨウ

ナリヒビケ モット (Music)

カラダ トカセヨ (Feel more life)

ナリヒビケ キミノ ココロヘ

TRIGGER、とりわけ八乙女事務所を辞めてからのTRIGGERは、とにかくライブをしてファンに姿を見せたいと思っている。

また、3人が共通の目標として掲げるのは「ゼロアリーナでのライブ開催」である。

ライブという仕事を、TRIGGERは何よりも重視している。

 

Stop light」で体を「ウツシダ」し、

Music」を「キミ(=ファン)ノココロヘ」「ナリヒビ」かせる場所——

それはライブである。

この歌詞は、「もっとライブをしたい」というTRIGGERの思いを表す。

 

 

(楽)溢れそうな感情を抑え 自分らしさ気付けなかった

(十)キミが教えてくれたね 真っ直ぐになれば良いと

十はセクシー路線のキャラを作ることに違和感を覚え、本当の自分とアイドルの自分との間で苦しんでいた(3部2章1話・3章2話~4章2話あたり)。

ここは恐らく、「自分らしさ」とは何なのか悩んでいた十のことを歌っているのだと思う。

 

 

(天)(明日に…Ah)

(楽)小さな希望があれば

(天)(不安も…超えられる)

(十)痛みも超えられる

(天)大事なPrideならば持っているだろう?

I believe!

TRIGGERは八乙女事務所を離れ、「不安」と「痛み」を抱えている。

しかし、前に解説したような揺るぎない「Pride」を持っているので、不安も痛みも超えることができる。

 

 

願いよ届け たとえ遠くても Oh

簡単に諦めたりしない

(天)(I’ll go my way)

(十)深く冷たい海の底からも

(楽)必ず上がってみせる Shine on the sea

もちろん、ここはサビであり、また「Shine On The Sea」というタイトルの一部が含まれることから、この歌詞が曲の中で一番の核になっていることは明らかである。

 

深く冷たい海(=芸能界)の底」に突き落とされたTRIGGERだったが、彼らは「簡単に諦めたりしない」。

必ず、海を照らす太陽のように芸能界のトップに立ち、再びファンを笑顔にする。

これこそ、3部におけるTRIGGERの決意表明に他ならない。

 

 

ウツシダセ モット (Spot light)

カラダ モヤシテ (Feel more live)

ウツシダセ ゼンブ ミセヨウ

 

(天)キミが笑ってくれるとすごく 嬉しくなる感覚は

(楽)恋にも似てる心地で 真っ直ぐに戻れる不思議

スピンオフストーリー『To the radiant of glory』のなかで、TRIGGERは3人が出会った時の感覚を「恋に落ちた」と言っている。

 

また、TRIGGERのデビュー曲『DIAMOND FUSION』(結城さん作詞)に

「Dance to you like fall in love 初恋のようなトキメキを…」

という歌詞が出てくる。

結城さんは、「『DIAMOND FUSION』はTRIGGERの出会いを描いた歌詞」だと明言している。*2

 

彼らは、3人が出会った時のこの「恋にも似てる」感覚をずっと持っており、初心を忘れずに歌い踊っているのだ。

 

 

(十) (今…Ah)

(天)積み重ねてきた分だけ

(十)(自信に…繋がるよ)

(楽)勇気に繋がるよ

(十)柔なPrideなんて捨てるべきだろう?

I promise!

1番とは違い「捨てるべき」とされている、この「柔なPride」は、1番に出てきた「Pride」とは別のものを指すとわかる。

 

では「柔なPride」は何を指すかというと、「八乙女事務所ブランド」である。

 

TRIGGERは「八乙女事務所」という強力なブランドのもと、デビューしてからすぐに売れた。

しかし月雲の攻撃が始まってからは、この八乙女ブランドがかえって攻撃をエスカレートさせ、悪循環であると考え、事務所を離れる道を選ぶ。

八乙女ブランドは今のTRIGGERにとって必要ないもので、むしろ捨てた方がいいもの。

 

だから、八乙女ブランドへのこだわりなどという、「柔なPride」は「捨てるべき」なのである。

 

楽が「包装紙に傷が入っても中身は変わらず一級品だ」と言っていたように、八乙女事務所というブランドの包装紙を捨てたとしても、TRIGGERの実力、努力、信念、そういった本質はなんら変わりない。

そんな柔なプライドは、TRIGGERにとっては捨てても全く問題ないのである。

 

 

願いよ届け 引き寄せればいいさ

ぼんやりじゃなくハッキリ見える

(楽)(I’ll keep my word)

(天)その映像を 胸に灼きつけて

(十)進むべき道を選べ Shine on the sea

その映像」とは、『願いはShine On The Sea』を歌ったミュージックフェスタで見た、ファンで埋め尽くされた広い会場の光景のこと。

これ以降はいつ、こんな広い会場でライブができるかも、満員にできるかも、分からなかったので、TRIGGERは「その映像」を「胸に灼きつけた」。

 

 

(天)信じてる…

 

(楽)泳ぎ続けるだろう どんな時でも

(十)水面(みなも)を照らしてる太陽の様に

(天)誰かを癒す 愛を注ぎたい

(天)届いてよ…

(楽)キミのもとへ

月雲にどんなに攻撃をされても、どんな逆境にあっても、TRIGGERは「どんな時でも」芸能界(=海)の中を「泳ぎ続けるだろう」。

 

そして「水面を照らしてる太陽の様に 誰かを癒す 愛を注ぎたい」でタイトルの「Shine」の意味を回収。

 

「愛を届けたい」とか「与えたい」とかじゃなくて、この「注ぎたい」というワードチョイスも実は「太陽」と関係している。

「陽が降り注ぐ」とか言いますよね。これはただ太陽が当たっているのではなくて、「たくさんの」陽の光が当たるというようなニュアンス。

 

つまりTRIGGERのファンへの愛は「たくさん」なんだよ!!(語彙の消失)

まさに、一織が天のことを言っていたように、「惜しみない愛情」なんだよ!!

 

泳ぐ」「水面」、海に関連づけた歌詞で統一している、このセンスは本当にすごい。美しい。言葉選びが。

広い芸能界のなかでTRIGGERがもがいてる感じがよく出ていると思う。

 

 

願いよ叶え たとえ遠くても Oh

簡単に諦めたりしない

(十)(I’ll go my way)

(楽)深く冷たい海の底からも

(天)必ず上がってみせる Shine on the sea

(十)(そうI believe…)

 

ウツシダセ モット (Spot light)

カラダ モヤシテ (Feel more live)

ウツシダセ ゼンブ ミセヨウ (Let me show you…)

ナリヒビケ モット (Music)

カラダ トカセヨ (Feel more life)

ナリヒビケ キミノ ココロヘ

 

 

 

 

はい。以上になります。

 

まとめると、

『願いはShine On The Sea』は、「芸能界のトップに這い上がり、再びファンを笑顔にしたい」というTRIGGERの願いと決意を反映した曲である。

 

書きながら興奮を禁じ得ない、要するに凄い曲(ふりだしに戻る)。

最終的に「TRIGGERは最高」しか言えなくなる。

わたし、TRIGGERが現実のアイドルだとしても絶対にずっとしがみついていくと思う……

 

T R I G G E R は 最 高

 

 

 

 

 

 

*1:話逸れるんですけど「雨に歌って」ってジーン・ケリーリスペクトですかね。ミュージカルの多大なる貢献者だからね、ジーン・ケリー。ミュージカル方面担当の天らしい。

雨に唄えば』好きなんですよ~、今年の午前十時の映画祭で、夏ごろにスクリーンで見られるから、未見の方はぜひ。一般1000円、学生500円で見られます!オトク!

*2:

entertainmentstation.jp