アイナナ3部20章
3部20章、同時並行で起こってることが多すぎてごちゃごちゃしたので整理しました。
今回は大きく【MOP前/MOP本番】の2部構成になっていた。
さらにMOP前は、5か所で違う出来事が同時並行的に起きているという複雑さ。その5つの出来事は以下。
1.MOP前日、九条鷹匡宅、九条と楽
2.MOP前日、路地裏、ナギと巳波
3.MOP前日、街、十と了
4.MOP前日、百宅、殺されかける百
5.MOP当日の昼、ゼロアリーナ前、陸と天
3と4のシーンは相互に関係していて、3の十が了に指示し、4の百の家にいた手下に電話する。
MOP前
1.MOP前日、九条鷹匡宅、九条と楽の会話。
【「天を自由にしてほしい」楽 VS 「天は僕と一緒にゼロを超える」九条】の図式。
九条「あの子は望まないことにただ屈服し続けたりはしない。僕の夢を叶えることが、あの子の夢だ」
九条の夢を叶えることが天の夢…というわけではない。
天が「ゼロを超える」「九条さんの夢を叶える」と言う目的は、九条の夢を終わらせ理や悠のような「犠牲者」をもう出さないため。
天は自分が生贄となって、もう犠牲者が出ないようにするつもりだ。夢なんかじゃない。
九条は、天の本当の気持ちになどまったく気づいていない。自分の都合のいいように「僕の夢を叶えることが天の夢だ」と事実を捻じ曲げ、思い込んでいる。
「ゼロは僕を裏切った。春樹はゼロを裏切って、ゼロの歌を世界中にばら撒いてる。だから僕は天と一緒に夢を叶えるんだ」
九条が春樹のことを良く思っていなかったのは、春樹がゼロ以外にも自身の曲を歌うことを許したからだと分かった。
(というか世界中って。春樹の曲が歌われているのは、日本とノースメイアだけじゃないのか?)
つまり、九条が好きだったのは「ゼロ」単体ではなく、「春樹の曲を歌うゼロ」だったわけだ。
「ゼロは僕を裏切って夢を途中で終わらせた。」「春樹は、ゼロのものだったはずの曲を、世界中にばら撒いた。」
九条は、ゼロと春樹、2人に裏切られたと感じている。だからゼロを超えるアイドルを創ることで、その穴を埋めようとしている。
「天を縛ったことはない。君たちこそ天につけ込むのはやめてくれ。あの子は優しい子だから、君たちが二流でも見捨てられないんだよ」
「天を縛ったことはない」……本当にそうだろうか?確かに始めは、天自身の意志で九条のもとに来たかもしれない。だが今の天は「九条の夢を終わらせるために」自分を犠牲にしようとしている。
九条の存在そのものが天を縛っている。しかも九条にはその意識がない。
「あの子は優しい子だから」と言いながら、まさに九条自身が一番その優しさに甘えていることには気づいていないのだな。
2.MOP前日、路地裏、ナギと巳波の会話。
巳波「元気になるといいなんて、自分でも知らないうちに愛情が芽生えていたんでしょうか。虎於さんもトウマさんを追いかけて行った。なんだかんだ気にかけているんですね」
ZOOLに絆が芽生え始めている。これは4部で大きなポイントになるはず。
ナギ「『Sakura Message』を歌うワタシは最高だと言ったそうですね。ならば、本当のメッセージを知っていたはず」
巳波「ようやく意味に気づきましたか。噂で聞いていたあなたらしくない」
ナギ「あの方がここまで悪趣味だとは想像していなかった」
「あの方」は誰なのか。
あの方=『Sakura Message』の歌詞を書いた人物=i7の作詞家に電話した人物、と考えていいだろう。その人物は外国なまりの日本語を話す。
さらに、『Sakura Message』の歌詞に込められた本当のメッセージは、ナギにから見ると悪趣味なものだった。
ナギ「ハルキに会いましたね」
巳波「ノースメイアでね。遺言状を預かったのも私。安全のため、日本で投函しました」
ナギ「ハルキに会ったのはいつ?」
ここで巳波は答えを渋る。
巳波は、ナギのせいで春樹は消えたと考えている。そのナギに、「誕生日おめでとう」という春樹の言葉を伝えるのは気が引けた…ということか。
巳波「6月です。『誕生日おめでとう、ナギ。残念だけど、来年はもう祝えないだろう』と言っていた」
ここで気になるのは【今、何月なのか?】ということ。
4話MOPパフォーマンス前、三月が「デビュー1周年の記念の日にMOPにエントリーできて嬉しいです」とコメントしていた。
つまりこの日はIDOLiSH7デビュー1周年記念日前日。
IDOLiSH7は『NATSU☆しようぜ』というサマーソングでデビューする予定だった。結局、この曲は日向アキヒトに盗まれ、ほぼ同じ時期にTRIGGERのシングルとしてリリースされた。このことから、IDOLiSH7のデビュー日は夏であるとおおよそ見当がつく。7/7だったらアイナナらしくていいよね。
よってこの日は夏だと考えられる。
ただし20章のキャラクターたちがパーカーやジャケットなど、秋服を着ていることとは矛盾するが……それは一旦置いといて。
今が6月だったとしたら「6月に会いました」ではなく「今月会いました」と言うだろうから6月は除外され、今は7月〜遅くとも9月?
※追記です。
月雲了の家で流れていたテレビのニュースで、「秋を感じさせるラブソング特集」が組まれていた(15章5話)。
また、『Friends Day』時の百の「秋の夜長に、こたつを囲んでお届けします」というコーナー紹介から(18章3話)、
3部終盤の季節は秋だと思われる。
訂正。【MOP開催時期、及びIDOLiSH7デビュー日は秋】。
『NATSU☆しようぜ』で夏にデビューする予定だったが、TRIGGERに曲を取られてしまったので予定がずれ込み、秋デビューになった?
と考えると自然。
【巳波が春樹と会った6月は、ストーリー中のいつ頃なのか?】
6章1話、「外の日差しが眩しいな。もう夏ですね。私たちの1周年ツアーもいよいよ始まります」という一織のセリフがあった。
「もう夏ですね」と言うような時期は、まだ本格的な夏ではないが、暑くなり始めた頃、初夏あたりである。ふつう、日本で夏らしい暑さが始まるのは6月〜7月上旬くらい。
とするとこの6章あたりが6月だったのでは、と考えられる。
巳波「あなたのせいで死に急いだ桜さんを、助けてくれるんでしょうね!?ナギ・ヴァルハルト・フォン・ノースメイア殿下!」
巳波が「殿下」とはっきり言った。「殿下」は王族・皇族に用いる敬称。
3.MOP前日、街、十と了の会話。
了「モモは酔っ払ってマンションのベランダから落ちて死んだよ」
十は「連絡先を教えろ」と了に掴みかかるが、通行人には「撮影です」と言う。
この「撮影です」っていうの、アイドル基本ルールその2でしたね。10章5話に出てきた。
十は、手下を百の部屋から引き上げさせるよう、了に電話をかけさせる。
4.MOP前日、百宅、19章に続き、百といかつい男たちのやり取り。
千が合鍵で百の部屋まで来る。
了から1回目の電話。千から始末するよう指示。
了から2回目の電話。百の部屋から引き上げるよう指示(十が指示させた)。
5.MOP当日の昼、ゼロアリーナ前、天と陸の会話。
【TRIGGERを助けるために歌いたい陸 VS ファンのためだけに歌う天】の図式。
天「今は遠いな、ゼロアリーナ」
勘違いしそうだがMOPの会場はゼロアリーナではない。
↑ゼロアリーナのこけら落としの背景
↑MOPの背景
明らかに違う会場。
TRIGGERの目標はあくまで「ゼロアリーナでライブ」である。
陸「今夜、TRIGGERに勝つ。オレが勝ったら家に帰って」
天「取引みたいなことはやめなさい。ボクらはファンのために歌う。他に意味を持たせるべきじゃない。賭けなんてしないよ。遠くまで来ちゃったね。陸のおねだりが、陸の願いを叶えてあげることが好きだった。誰かを幸せにできることがとても嬉しいことだって、教えてくれたのは陸だった。だけど今のキミのやり方には添えない。『Friends Day』で、陸はファンのことを考えずにTRIGGERのことばかり考えてた。あの歓声を引き起こしたのは陸だ。だけどボクは陸の力を認めない」
天は陸の「訴求力」をはっきり否定した。
14章5話、一織が陸の「訴求力」に初めて気づいた時の説明がわかりやすい。
「何かを必死で訴えようとした時、やろうとした時、痛ましさを見せた時に、人々の感情を支配し引き寄せる陸の訴求力は、天が惜しみなくパフォーマンスや愛情を与えて、ファンの心を満たしていくのとは対極にあるものだ」
天が陸の訴求力を否定するのは至極当然のこと。
陸「ふざけるなよ!自分はオレのために、全部捨てたくせに…」
天「……?」
楽に「亥清が『あいつは病気の弟を助けるためにあんたの養子になった』と言っていた。本当か?」と訊かれた九条は「ある意味ではね」と、否定しなかった。
九条のセリフに言葉を足すとするなら「ある意味ではそうとも言えるが、天は陸のために犠牲になったのではなく、自分の意思で養子になった」という意味になる。
天が陸の治療費と引き換えに九条の養子になったことは事実だろう。
陸は「天が陸のために全部捨てた」と認識している。
恐らく陸のこのセリフはめちゃくちゃ小声で、天には聞こえていない。
九条が陸の治療費を肩代わりしていた事実を知った時に、陸は「隠し通してくれた両親と天のために、知らない振りを続ける」としていたからだ(15章3話)。
陸「MOPで1位になってブラホワでも勝って、日本一になる。それでオレのコネでTRIGGERをテレビに出しまくってやる。オレはオレのやり方で勝って、二度と天にぃに文句は言わせない」
天「ボクらも負けない。ボクのアイドル人生をかけて、全身全霊でキミのやり方を否定してみせる」
【“TRIGGERのために”歌う陸 VS “ファンのために”歌う天】の構図。
MOP本番
シーンは、3話後半からMOP公演へと移る。
IDOLiSH7とTRIGGERが対決し、TRIGGERの勝利に終わった。
TRIGGERの勝利のキーポイントは2つ。
1つ目は【ファンのために歌ったこと】。
TRIGGERはひたすらファンを笑顔にすることだけを考えて歌っていた。
それに対してi7、特に陸は「オレのやり方を天に認めさせるため」に歌い、「ここにいるみんな(i7)と、一緒に歌っている自分が大好きだ」と考えている。
「ファンのみんなが大好きだ」とは言わないんだなあ。
MOPは「Music Of People」——「大衆のための音楽」賞である。
この会場では、ファンのために歌わなければいけなかったはず。
2つ目の鍵は【グループが一体となっていたこと】。
TRIGGERの一体感を表した、象徴的なセリフがあった。
それが、モブ通行人が言った「TRIGGERが一つの生き物みたい」というもの。
『In the meantime』の歌詞に「一つになる気持ち良さは尋常じゃないぜ」という部分があった。
初めて聞いた時は、天くんなんちゅうどエロいこと言うてんねん…て思ってたんだけど、MOPで回収されましたね。
一方のi7は、6人が想いを込めながら歌うのに対し、ナギだけは「…………。」である。
パフォーマンス前のコメントで、大和が「オレたちが揉めてんのなんか知らないはずのファンに、全部見透かされてたような、あの目がずっと忘れられません」と言っていた。
ファンは全部見抜いている。気づいている。
ナギの心がi7から離れていることも、ファンはどこかできっと感じ取っていたはず。
一つの生き物に見えるほど一体化したTRIGGERと、i7を抜けようと思っているナギがいるi7。
以上の2つのポイントを押さえると、TRIGGERが勝つことは明白だった。
MOP終了後
ナギ「今夜のリクの歌は最高でした。最高の思い出です。これからもみんなを支えてくださいね。ヤマトが教えてくれたのですが、日本の大字で六弥ナギの六は、リクの陸でした」
陸「そういえばそうだ。陸って六って意味もあるんだよね」
ナギ「だからリクがいれば、ワタシたちは理想の形のまま、永遠に途切れません」
ナギは、「自分はi7を抜けるから、“七”瀬 “陸”、あなたが7と6を兼任しろ」と。そう言っている。
「エッダのバルドル」について
別記事に記載。
3部はてっきりブラホワでZOOLと対決して終わるもんだと思ってたので、ここで終わってびっくり。ちょっとスッキリしなかったかな。
4部ではナギの伏線が一気に回収されると思うので楽しみです。
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